本記事ではB to Bのビジネスを展開されている中堅・中小企業の経営者やマーケティング・拡販担当者の方向けに、データドリブン・マーケティングの基本原則や効果等をご説明します。
は競争の激しい市場での生き残りと成長を目指す中、データドリブン・アプローチは市場の変化にスピーディに対応し、リソースを効率的に活用しながらパーソナライズされたアプローチを採用する手助けをします。
データドリブン・マーケティング 6つの基本原則
データドリブン・マーケティングは現代のビジネス環境において成功へのカギを握る要素です。実施していくための6つの基本原則を以下に示します。
- データ収集
我々の周りにはますます多くのデータが蓄積されています。これは、顧客の行動、市場のトレンド、競合情報など、重要な情報がそろっていることを指します。B to B企業ではそれらに加えて、ターゲット企業の情報、顧客担当者の情報、過去の取引の情報などをデータとして収集する必要があります。
- データ分析
収集されたデータを分析し、洞察を導き出すことが不可欠です。データからパターンや傾向を発見し、戦略を最適化します。ターゲットとする企業がどんな情報を求めているか?どんな課題を持っているのか?どんなキーワードに敏感に反応するのか?などを分析し、次の「ターゲット指向」に生かします。
- ターゲット指向
データを活用して、ターゲット市場や受け手を特定し、よりパーソナライズされたアプローチを採用します。
パーソナライズとは、製品やサービス、コンテンツ、広告などを、個々の顧客やターゲット層に合わせて、より個別に適応させる戦略やプロセスを指します。顧客の個々の好み、興味、行動履歴、デモグラフィック情報、購買履歴などのデータを活用して、特定の顧客に合わせたメッセージや提案を提供します。
- 実験と最適化
マーケティング戦略を実施し、データに基づいて継続的に改善を図ります。成功体験を拡大し、失敗から学びます。マーケティングはこの「実験と最適化」を繰り返し、常に改善を続けていく活動です。
- 効果測定
マーケティング活動の成果を定量的に評価し、投資対効果(ROI)の向上に注力します。
広告やマーケティングキャンペーンの効果をデータで客観的に測定し、次の施策改善に生かしていくことが大切です。
- 迅速なアクション
データをリアルタイムで監視し、市場の変動にスピーディに対応します。どんなにデータを収集し可視化してもアクションに繋がらなければ意味がありません。そのためには可視化したデータと取るべきアクションがわかりやすく速やかに共有されることも必要です。
これらの基本原則をマーケティングや拡販活動に取り入れると、データドリブンなものになっていきます。まずは自社の活動でどのように取り組めるのか、を考えてみてください。
また、不足しているものはなにかを明らかにしてみてはどうでしょうか?
データ活用で大切な3つのポイント
みんなでデータ活用するためのBI入門ガイド
データドリブン・マーケティングが必要なわけ
なぜマーケティングにデータドリブンなアプローチが必要なのでしょうか?
現在の企業には厳しい競争環境での生存と成長が求められます。データドリブン・アプローチは、この競争の激しい舞台で成功への道を切り拓く強力なツールとなります。その理由を見てみましょう。
- 市場の変化にすばやく対応
データドリブンなアプローチではリアルタイムでデータを収集・分析できます。これにより、市場の変動やトレンドを迅速に把握し、即座に対策を講じることができます。
- データからの洞察
データ分析を通じて、市場の傾向やパターンを発見できます。これにより、ターゲット顧客の行動や需要の変化を理解し、戦略の調整に役立ちます。また過去に行ったどんな施策が効果を発揮したのか?そのデータから戦略や施策を立案できれば、成功に近づけるはずです。これらの洞察はマーケティングだけでなく、製品開発や営業戦略にも活用できるでしょう。
- リソースの効率的な活用
マーケティングには思った以上にお金や工数が必要になります。これらの貴重なリソースを効率的に使っていけることは、企業にとって大きな競争力となります。データ分析を通じて、リソースの無駄を減らし、予算を賢く運用できます。
- パーソナライズされたアプローチ
データを活用し、顧客に合わせた個別のアプローチを採用し、強固な関係を築き上げます。ニーズは多様化しており、同じ製品でも違う部門の担当者ではアプローチ方法が違います。適切にアプローチするにはデータに基づいた分析と施策立案が必要です。
データドリブンなマーケティングに欠かせないWebサイト
Webサイトは中堅・中小B to B企業において、データドリブン・マーケティングの中心的な要素です。しかし、構築したWebサイトが単に会社情報を提供するだけのものになっていないでしょうか?
Webサイトをデータドリブン・アプローチに統合し、新たな競争優位性を構築できます。以下では、Webサイトとデータドリブン・マーケティングの統合方法について説明します。
- データ収集
Webサイト訪問者の行動データを収集します。これにはページビュー、セッション数、滞在時間、クリック数などが含まれます。Google Analyticsを使って(無料で)データを収集するのが基本です。が、中堅・中小企業では未導入の場合もあるでしょう。もし取り組んでいなかったらGoogle Analyticsの利用から始めることをおすすめします。
Google AnalyticsはWebサイトの分析ツールです。Webサイトのトラフィックや訪問者の行動に関する情報を収集し、分析するために使用されます。Google Analyticsを導入すると、ウェブサイトへの訪問者数、ページビュー、セッション数などの基本的なトラフィック情報やユーザーのページごとの滞在時間、クリック率、コンバージョン率などといったデータを収集・分析できます。
- データ分析
収集したデータを分析し、Webサイトの強みと弱点を特定します。どのページが最も訪問されているか、どのコンテンツが効果的か、問い合わせに至った数や経路などを調査します。Google Analyticsを見ながら分析もできますが、加えてBIツールを使って多角的に分かりやすく分析するのがおすすめです(BIツールは追加投資になるので、しっかりと自社にあったものをご検討ください)。
- 最適化の実施
データに基づいてWebサイトを最適化します。例えば、訪問者の興味に合わせたコンテンツの提供や、ユーザーエクスペリエンスの向上を検討します。ただし「最適化されたWebサイト」は完成することはありません。常に継続して改善し、その時にできる最適な状態を求め続けていく終わりのない活動になります。
- データ連携
Webサイトのデータを他のマーケティングツールやプラットフォームと連携させます。これにより、広告キャンペーンの効果測定やリードジェネレーションに活用できます。
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データドリブンなWebマーケティングのカギ: コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、企業やブランドが有用な情報や魅力的なコンテンツを制作・共有し、ターゲットの顧客に価値を提供するマーケティング戦略です。これにより、顧客の信頼を獲得し、ブランド認知度を高め、商品やサービスの販売促進を図ります。従来の広告とは異なり、コンテンツマーケティングは顧客のニーズや関心に合致したコンテンツを提供し、顧客の課題への解決策を提供するのが一般的です。
潤沢な広告予算を用意できない中堅・中小企業にとってはコンテンツマーケティングが有効な施策になりうると思います。コンテンツを作るのは大変ですが、その企業の財産として残り、Webサイトへの誘導や見込み客への訴求といった効果を発揮し続けます。
データとコンテンツマーケティングの融合は、B to B企業にとって競争力の源となります。データを活用したコンテンツマーケティングにより、効果的なコンテンツの制作、展開、評価が可能となり、企業の成果を最大化できます。以下は、コンテンツマーケティングにおけるデータの役割です。
- 効果的なコンテンツの特定
データを分析し、どのコンテンツが最も効果的であるかを特定します。訪問数、コンバージョン率、共有回数などのデータをもとに、成功要因を明確にします。どんな検索キーワードで自社コンテンツにたどり着いたのか?などの情報もターゲット顧客の課題やニーズを捉える重要なデータになります。コンテンツへの反響をしっかりとデータで分析し、次の「コンテンツの改善」へ生かします。
- コンテンツの改善
データに基づいてコンテンツを改善します。顧客のフィードバックや行動データをもとに、コンテンツの品質を向上させ、読者の関心を引きます。また改善においてはコンテンツ内容だけでなく、「コンテンツからどうコンバージョン(問い合わせや資料ダウンロード等)に繋げるか?」といった戦略も必要です。コンテンツを見てもらうだけでなく、商談へと繋いでいく仕組みがコンテンツマーケティングではとても大切であり、行動データがその改善を可能にします。
- コンテンツのパーソナライゼーション
データを活用して、個別の読者に合わせたコンテンツを提供します。パーソナライゼーションは読者のエンゲージメントを高め、コンバージョン率を向上させます。ここまでできれば、「かなりデータドリブンなコンテンツマーケティングができている」と言えるでしょう。
マーケティングと営業の連携: リードジェネレーションからセールスへ
B to Bマーケティングにおいては、マーケティング活動で創出したリード(見込み客)をタイムリーに営業に渡して、商談につなげることが大変重要です。どんなにマーケティングで効果を出しても商談化ができないと意味がありません。収集したデータをもとにしたマーケティングから営業への上手な連携が成否を分けます。
データドリブン・マーケティングは、リードジェネレーションからセールスプロセスの最適化まで、営業活動全体に影響を及ぼします。以下にマーケティングと営業の連携におけるデータの重要性について説明します。
- 理想的なリード(見込み客)の獲得
データの活用で効果的なリードジェネレーション戦略を展開できます。ターゲット市場や顧客セグメントを正確に特定し、効果的なリードを獲得します。リード獲得の施策を立案する段階から「理想的なリード」を営業チームと設定し、データに基づいた施策を実行できれば、獲得リードの商談化のチャンスはぐっと広がるはずです。
- 顧客情報の共有
収集されたリードのデータは営業チームと共有され、顧客情報や営業の進捗状況を把握できるようにします。また行動履歴のデータは顧客へのパーソナライズされたアプローチを可能にします。見込み客のデータが 「どんなWebページを見ていたか?」「過去にどんなセミナー/イベントに参加しているか?」などのデータがあれば、営業活動が断然しやすくなります。
- セールスプロセスの最適化
データをもとに、セールスプロセスを最適化します。リードの進捗を追跡し、効果的なフォローアップを実施します。例えばリード顧客の行動データが見える化できていれば、資料をダウンロードしたタイミングを見てすぐに営業アプローチを行う、といったアクションも可能になります。また、セールスプロセスを成功パターンのデータに基づいて改善し、標準的な顧客アプローチ方法として共有する、などの施策が考えられます。
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BIプラットフォーム Domoまとめて導入事例集
データドリブン・マーケティングにおすすめのツール
データドリブンなマーケティングはITツールの利用で効率化できます。今回は弊社で利用しており効果を実感しているものを中心にご紹介します。参考にして自社にあったものをご検討いただけますと幸いです。
マーケティングオートメーションツール(MAツール)の活用
データドリブン・マーケティングにおいては、マーケティングオートメーションツール(MAツール)の活用が効果的です。これらのツールは、データを分析し、リードの生成からセールスへのコンバージョンまでのプロセスを自動化します。その中で得られたデータはデータドリブン・マーケティングの基礎情報になります。以下は、マーケティングオートメーションの利点です。
- リードスコアリング
データを活用して、リードの質を評価し、優先順位をつけます。高品質なリードにフォーカスし、営業チームの効率を向上させます。
- カスタマイズされたコミュニケーション
データに基づいて、リードに対するカスタマイズされたコミュニケーション(メルマガなど)を自動的に配信します。それぞれのリードのニーズに合わせた情報提供が可能です。
- 分析と洞察
MAツールはデータの分析と洞察を可能にします。マーケティングキャンペーンの効果を評価し、戦略の改善策を見つけます。弊社はHubSpotというMAツールを利用していますが、メルマガ配信や分析の機能を持っており、メルマガの開封率やクリック率を有効なデータとして活用しています。
データ収集の効率化: kintoneを有効活用
中堅企業や中小企業の方とデータ活用についてお話していると「データを営業活動やマーケティングに活用したいけれど、そもそもデータがないので…」といったお声を聞くケースが多いです。そのような場合はまず営業活動をデータ化、収集し、一元化することから始めるのがおすすめの方法です。
データ収集を効率化するために当社ではkintoneが大活躍しています。kintoneは、中堅・中小企業にとって非常に有益なツールで、データ収集がスムーズに進行し、データ品質と一元化を実現できます。
以下は、データ収集においてkintoneをおすすめする理由です。
- アプリケーションを簡単に作れる
kintoneを利用すると、独自のデータベースアプリケーションを簡単に構築できます。そのため企業固有のデータ収集ニーズに合わせたアプリケーションを開発できます。必要なデータを集めるためのアプリケーションを作れば、データが自然に集まる仕組みを作れるのです。
- データの一元化
kintoneは異なる部門や拠点からのデータを一元化し、リアルタイムでアクセス可能にします。データの統合により、組織全体でデータを共有できます。
- ワークフローの自動化
kintoneはワークフローの自動化をサポートし、データ収集から承認プロセスまでを効率化します。例えば、承認プロセス付きの営業日報アプリを作成し、日々の状況を把握できるようにするのも簡単です。
- アクセスコントロール
データへのアクセス権の設定と管理が容易で、セキュリティを確保します。そのため安心してkintoneにデータを集められます。
kintoneでSFA(営業支援システム)を構築すれば、営業状況のデータも統合され、BIツール等での可視化も容易になります。
データの統合~可視化~アクションに。BIプラットフォームDomo(ドーモ)
弊社NDIソリューションズではBIプラットフォームDomoを利用し、マーケティングや営業活動の状況を分かりやすいグラフや表で可視化しています。
Domoは、ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence、BI)分野で活用されるクラウドベースのデータ分析プラットフォームです。弊社が利用している理由はなんといっても「使いやすさ」。データ活用の専門家がいない企業でも扱えるのがおすすめポイントです。
以下にDomoの主な特徴と機能を説明します。
- データ統合と可視化
Domoはさまざまなデータソースからデータを統合し、リアルタイムで可視化する機能を提供します。ほかのシステムやサービスと簡単にデータを繋げられるのが特徴で、kintoneやHubSpotからもすぐにデータを連携可能です。データをダッシュボードやレポートとして視覚的に表現し、わかりやすい形で提供します。
- リアルタイムデータ分析
Domoはリアルタイムのデータ分析をサポートし、データの変動やトレンドを即座に把握できます。これにより、迅速な意思決定が可能となります。
- データの予測分析
Domoは機械学習や予測分析を活用し、将来のトレンドやビジネス展望を予測します。これにより、戦略の立案やリスク管理に役立ちます。
- データのセキュリティ
ビジネスデータのセキュリティに重点を置いており、データの暗号化やアクセス制御などのセキュリティ対策を提供します。安心してDomoにデータを統合できます。
- カスタマイズ可能なダッシュボード
Domoはユーザーが独自のダッシュボードをカスタマイズできるため、特定の業界やビジネスニーズに合わせた情報表示が可能です。
- モバイル対応
モバイルアプリを通じて、データのモバイルアクセスや分析が可能です。モバイル環境でもビジネスデータにアクセスできます。いつでも、どこでも最新のマーケティングや営業の状況を確認することが可能です。
Domoはビジネスの意思決定をデータに基づいて強化し、データドリブンな組織づくりをサポートするプラットフォームとして、多くの企業で活用されています。
まとめ
データドリブン・B to Bマーケティングは、競争が激化するビジネス環境において、B to Bビジネスを展開する中堅・中小企業にとって成長と成功へのカギとなります。データを活用したWebマーケティングやコンテンツマーケティングを展開し、マーケティングと営業の連携を強化して、未来に向けた戦略を展開しましょう。成功への道は、データと戦略的なアクションに繋がっています。
NDIソリューションズでは、Domoを利用した企業事例集の公開、セミナーの開催を行っております。
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