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データドリブン実践で見えたメリットとデメリット~SE現場での活用例~

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2023年05月16日 07:30

データドリブン」とは、データの分析結果をもとに的確な意思決定を行うことです。

私たちSE(システムエンジニア)の世界では、一人ひとりのSEが何の作業に何時間使っているか?を把握し、管理することが大変重要です。それらが適切に行われないと、「どのシステム開発案件に何人必要か?誰を入れるか?」等のプロジェクト見積もりが上手くいきません。
これまでは「勘、経験、度胸」(KKD法)が使われてきました。

そこに過去の経験で得た実績の分析結果が裏付けができれば見積もりの精度が高まり、プロジェクトの成功率も上がります。KKD法とデータドリブンの二刀流で会社を変えてみませんか?私が経験したデータドリブンの実践から、そのメリットとデメリットをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

 

 

なぜデータドリブン?

筆者は子供時代には水道水を飲み、賞味期限の表記のないものを食べていた、そんな世代です。バブル期に「花の都大東京」でコンピュータ業界のシステムエンジニアとして社会人デビューしました。その後、パソコン、インターネット、携帯電話、人口知能(AI)と世の中は「秒進分歩」で目まぐるしく変わってきました。みなさんはこんな時代の変化に対応できていますか?

現代は特にデータ量が膨大なものになっています。個人情報、企業情報、ネット情報(SNS含む)、気象情報(気流、潮流など)、機器(センサー)情報、会員情報(契約率、解約率など)と世の中はデータであふれています。いわゆるビッグデータです。データには「正しい情報」もあれば「誤った情報」もあります。「正しいデータ」をいかに収集し分析して活用できるか?ということが企業にとって重要なテーマとなってきています。例えば、データを活用して「タンカーの燃料費を〇〇〇億円カットした」というネット記事を見かけることもあります。
このように企業活動、ビジネスの現場において、データに基づいた施策を立案したり、行動を変化させたり、様々な意思決定を行っていくのが「データドリブン」という考え方です。「勘や経験をもとに考えて、最後は度胸で決定する」という従来のKKD法を脱却する手法として注目されています。

情報収集や情報活用は昔から行われていました。江戸幕府が長く続いたのは過去の経験値(情報)をうまく活用できたからではないか…。滅んだのは他国の情報収集を怠り(鎖国)、時代の変化に対応できなかったのではないか…。データドリブンな幕府だったら、もっと長く続いたのかもしれません。
現代(昭和時代ですが…)に置き換えればノムさんこと野村克也さんの行っていた「ID野球」が近いでしょうか?ID野球とはデータ分析をもとに采配を行って勝利を目指す野球のことです。(その中でも一流の勝負師が持っている「経験や勘」も加味されていたと思いたいですが…)。今や投手の投球情報、打者の打撃情報のデータ活用は日常化しています。野球もデータドリブンの時代なのです。

企業で「データドリブン」を取り入れた場合はどうでしょうか。私にとって身近なSEの仕事を例にしてみます。

<企業でのデータドリブンの例1>
AさんもBさんも月間稼働時間は同じです。しかし二人の作業内容を確認してみるとAさんはお客様の仕事がメイン、Bさんはスキルアップがメインでした。
勤務時間情報だけではAさん、Bさんに対して次のアクションがとれませんが、作業内容のデータがとれていれば適切なアクションが可能になります。データから導かれる必要アクションとしては「作業バランスの振り分け」となります。

<企業でのデータドリブンの例2>
Aさんの月の稼働は180時間、Bさんの月の稼働は200時間です。勤務時間情報だけではBさんの方が頑張っているように見えますが、作業内容のデータを見ると同じようなプログラムを作成していることが分かりました。
作業内容のデータがとれていれば適切なアクションが可能になります。データから導かれる必要アクションとしては「Bさんのスキル改善」となります。

★データドリブンのためのポイント

  1. 必要なデータを蓄積する。
  2. 蓄積したデータを分析する。
  3. 分析したデータを活用する。(社内改善、売上改善、適切な顧客対応など)

 

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データドリブンのメリット

私は社会人1年目の時に上司から「仕事、あそび、勉強の割合は正三角形のバランスを保て」と言われました。その時はなるほどと思いましたが、今となってはなんと雑な割合かと思います。ここにデータドリブンの考え方を取り入れると、仕事とあそび、勉強の適切な割合が導き出され、その割合を達成するためのPDCAを回せるようになるはずです。時間の管理もデータドリブンで行えばさまざまなメリットが得られます。

さて、データドリブンな時間管理について私のSE業務での例をご紹介していきます。
「今年度の課の有償稼働率を確認しよう」と思いDomo(ドーモ)で作成したダッシュボードを表示しました。

※有償稼働率:全稼働時間のうち労務費として扱う稼働時間の割合。
※Domo:社内のあらゆるデータ、システム、人々をつなげ、データドリブン経営を実現する統合型BIプラットフォーム
Domoご紹介ページ:https://solution.ndisol.jp/domo

  • 課の有償稼働率
    目標を越えていない…

    Paid utilization rate of the section

  • 課の有償稼働率推移
    浮き沈みがあるなぁ
    Paid utilization rate transition of the section

  • 課の稼働率内訳
    スキルアップのための時間が多い?
    bi-datadriven-advantages-vol-34_image3
  • 課の有償稼働時間の内訳(人別)
    「赤の人」の有償稼働時間が異常に少ない!
    Breakdown of Paid Working Hours in Sections (By Person)

    「赤の人」に何らかの課題がありそうだ。より詳しく分析してみよう。

  • 「赤の人」の内訳
    有償稼働時間が少ない「赤の人」はスキルアップがメインとなっているのかぁ
    Breakdown of people with abnormally low paid working hours

  • 赤の人」の稼働明細
    「赤の人」の稼働明細を確認してみると…
    Work details of people with abnormally low paid working hours
    「赤の人」は今年度の新人さんでした。4月~8月は主に研修だったことがわかります。
    そこで「赤の人」=新人さんを抜いて有償稼働率を見てみました。すると目標をクリアしていることがわかります。

    Paid operation rate excluding new employees because paid operation hours are unusually small

このような感じで、データに誰もが容易にアクセスできれば必要な時に必要な情報が取り出せます。そして、データを見て気づきやアクションをとることができます。このような状態を「データの民主化」とも言いますね。

弊社では課長以上は常に有償稼働率を意識しており、一定のしきい値を下回った場合はDomoからアラートが通知されるように設定されています。これにより速やかに改善へのアクションがとれます。

また、勤務データの可視化(グラフ化)により、「超過労働改善対応」報告書が必要な社員や有給休暇を取得していない社員に対しての事前アプローチが可能となっています。また要員の稼働状況を把握し、案件の要員調整が実施できます。

このように私たちSE部門でも積極的にデータドリブンな時間管理や要員管理に取り組んでおり、多くのメリットを実感することができています。

★データドリブンのためのポイント
  1. 可視化データを見て現状の問題点が把握できる。
  2. 可視化データを見て次のアクションをとることができる。
  3. アクション結果の蓄積でデータの精度を上げることができる。

 

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データドリブンのデメリット

データドリブンは効果的な手法ですがデメリットや注意点もあります。それらもご紹介しておきます。

  • データの見方や正確さに注意が必要
    データの見方を間違えると不要なアクションをとってしまいますし、使い方を間違えれば誤った結果につながります。例えば上の例で考えると、「赤の人」は仕事せずに勉強だけしているのか?有給休暇が多い人は退職前なのか?といった感じに、先入観から誤った見方をしてしまう恐れがあります。
    また、元データに誤りや正確性がなければ正しい判断ができません。元データをしっかり入力しましょう。上の例では「赤の人」が「〇〇研修」と入れていれば研修内容がすぐに把握できたはずです。

  • データの取り扱いに注意が必要
    データの民主化と言いながら誰でも閲覧して「よいデータ」と「よくないデータ」があります。会社経営にかかわる数字や個人情報に繋がるものはしかるべき人しか見ることができない制御が必要です。例えば弊社ではDomoのPDPという機能を利用して閲覧制御を行っています。
  • データドリブンを実現するには時間やお金が必要
    データドリブンな企業になるには蓄積したデータの整理、可視化するための元データ作成や収集、自社に合ったツールの導入・整備、データを活用する会社の変化に合わせた社員の変化などが必要です。またトライアンドエラー(試行錯誤)が求められますし、すぐに結果に結び付かないこともあります。データドリブンなビジネス環境の実現には時間とお金がかかることをご理解ください。

  • データドリブンには「人材」も必要
    データ活用するためにはデータを入力する人、データを収集できる人、データを分析できる人、分析したデータで意思決定できる人が必要です。もしそのような人が会社内にいなければ人材育成からのスタートになります。しかし適切なツールを選択できれば、その苦労もかなり軽減できると思います。弊社が採用しているDomo等はデータ専門家でなくてもデータ活用ができるツールなので私たちもとても助かっています。

★データドリブンのためのポイント

  1. 不正確なでデータでは正しい意思決定ができない。
  2. データの閲覧権限を考える。
  3. 新しいことを始めるためには先行投資(「ヒト」、「モノ」、「カネ」)が必要。

 

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まとめ

いち早くデータを蓄積し、いち早くデータを分析し、いち早くデータを活用しなければ生き残れない時代です。データの分析で会社の状況を把握し、いち早くアクションを起こして、企業競争に負けない会社、組織、風土に変えていきましょう!

とはいえ自社だけでのゼロからのスタートは難しいと思います。よきパートナーを探して伴走型のサポートを受けて、自社内でのデータ活用の内製化を進めることをおすすめします。失敗のリスクや無駄な時間を最小限にとどめましょう!

最後に。
データドリブンで会社を変えるためには関係者の協力が必須です。必要データを公開しない、正確なデータを入力しない、データ収集作業を丸投げ、コミュニケーション不足で正しい分析ができないなど、「人」に起因する問題がデータドリブンを阻害する要因になりがちです。
企業にとって一番大切で、データドリブンやデータ活用成功の最大のキーは「人」です。
データ活用に関わる社員全員が、データドリブンで会社を変えることを目指して知恵を出し合って取り組みましょう。会社は必ず良い方向へ変わります。

 

※ご参考情報
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※DX認定制度:情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dx-nintei.html

 

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