
2026年07月29日 07:30

企業はデジタル化により、多くのデータが蓄積されています。BIツールを導入し、売上や顧客、業務状況をダッシュボードで可視化している企業も増えました。生成AIの普及によって、データの集計や分析も以前より身近になっています。
それでも、現場からは次のような声が聞かれます。
「データはあるが、どこから見ればよいか分からない」
「部門ごとにデータの意味や定義が異なる」
「データを見せても、上司や他部門が動いてくれない」
「ダッシュボードを作ったが、いつの間にか使われなくなった」
なぜ、データやツールがそろっていても、データ活用は成果につながらないのでしょうか。
NDIソリューションズが実施した、データ活用に関する3つのセミナーアンケートを分析したところ、企業のデータ活用は、大きく4つの壁に阻まれていることが分かりました。
問いを立てられない
信頼できるデータを整えられない
判断できる形で伝えられない
日常の行動として定着させられない
データ活用は、単にデータを集め、グラフを作る活動ではありません。問いを立て、必要なデータを整え、相手に伝わる形に変え、意思決定と行動に組み込む一連のプロセスです。
本レポートでは、3つの調査から見えた、企業のデータ活用を阻む壁をご紹介します。
調査名称 データ活用に関する意識・課題調査 2026
調査主体 NDIソリューションズ株式会社
調査方法 Domo関連セミナー参加者を対象としたWebアンケート調査
調査対象 データ活用、BI、DX推進、データマネジメントなどに関心を持つ、各セミナー参加者
本レポートで使用した調査
「AI時代を生き抜く!データで人を納得させる技術 ~DX推進を成功に導く、ストーリーテリングの力~」のアンケート
有効回答数 66名
主な調査項目 データを使った意思決定・説得における課題、セミナー参加目的、BIツールの導入状況、データ活用に関する現在の課題など
調査実施日 2025年5月29日、2025年6月18日、2025年7月23日、2025年9月9日、2025年11月11日
「AI時代に先駆ける!データマネジメント入門 ~初心者から学べるDataOps・ガバナンス・品質管理のすべて~」のアンケート
有効回答数 55名
主な調査項目 データマネジメントに関する関心・課題、業務への活用意向、データガバナンスやデータ品質に関するニーズ、BIツールの導入状況など
調査実施日 2025年8月8日、2025年9月16日、2025年9月16日、2026年1月27日
「AIの苦手領域で差をつける!データ分析の第一歩 ~実はみんなやっているー仮説思考があれば、行動につながる視点が見える~」のアンケート
有効回答数 56名
主な調査項目 仮説思考や問題定義に関するニーズ、KPI・検証設計への関心、データ分析の業務活用、BIツールの導入状況など
調査実施日 2025年10月7日、2026年2月5日
※3つの調査は、それぞれ回答者、回答数、設問内容、実施時期が異なります。本レポートでは回答を単純に合算せず、各調査で確認された回答傾向および自由記述をもとに、企業のデータ活用に共通して見られる課題を分析しています。
※本調査はデータ活用に関心のある各セミナー参加者を対象としたものです。
≪本調査データの利用条件≫
本レポートに掲載している調査結果、数値、図表等を引用・転載する場合は、以下の条件に従ってください。
情報の出典元として「NDIソリューションズ Domo」の名称を明記してください。
記載例: 出典:NDIソリューションズ Domo「データ活用に関する意識・課題調査 2026」
ウェブサイト等で使用する場合は、出典元としてNDIソリューションズ Domoへのリンクを設置してください。
URL:https://solution.ndisol.jp/domo
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3つのセミナーアンケートを分析して見えてきたのは、次の4つの壁がデータ活用を阻んでいるということです。
データ活用の最初の壁は、分析技術やツールではありません。そもそも、何を明らかにしたいのかが決まっていないことでした。
仮説思考をテーマにしたセミナーでは、参加目的として、次の項目が繰り返し選ばれていました。
この結果から、多くの担当者が、データを分析する以前に、分析の出発点となる「問い」の設定で悩んでいることがうかがえます。データが大量にあっても、問いが曖昧なままでは、どこを見ればよいのか判断できません。
たとえば、売上が下がったという事実を見つけても、
・どの商品が影響しているのか
・特定の顧客層で変化が起きているのか
・価格、競合、販路、営業活動のどこに原因があるのか
・一時的な変化なのか、構造的な変化なのか
という問いを立てられなければ、分析は深まりません。
結果として、データを眺めるだけで終わり、次の行動が決まらない状態になります。AIがあっても、最初の問いは自動では生まれないのです。
生成AIは、情報を整理したり、与えられた仮説を検証したりすることには力を発揮します。
しかし、ビジネスの現場で本当に重要なのは、
「今、何を問題として捉えるべきか」
「何を確かめれば、次の判断ができるのか」
という問いを設定することです。
問いが曖昧であれば、AIから得られる答えも曖昧になります。
データ活用の第一歩は、分析ツールを操作することではなく、解決したい課題と、確かめるべき仮説を言葉にすることです。
問いが決まっても、分析に使うデータを信頼できなければ、意思決定には使えません。データマネジメントをテーマにしたセミナーでは、参加者から次のような課題が挙げられました。
自由記述では、次のような声も寄せられていました。
| データ管理や権限管理の運用が課題。組織変更に伴う情報の更新や、業務が十分に引き継がれないことによる古い権限の残存などで、管理が複雑化している。 |
| 少しずつデータ化やシステム化を進める必要は感じているが、セミナーで示された状態を実現するには、まだ多くの段階が必要だと感じている。 |
これらの回答から見えてくるのは、データが存在することと、分析に使える状態になっていることは別だということです。「複数の真実」が意思決定を止めているのです。
営業部門、マーケティング部門、財務部門が、それぞれ異なるデータや定義を使っていると、同じ会社の売上を見ているにもかかわらず、数字が一致しないことがあります。
たとえば、
・受注時点の金額を売上とするのか
・請求時点の金額を売上とするのか
・キャンセルや返品をいつ反映するのか
・顧客、案件、商品をどの単位で集計するのか
といった定義が異なるだけで、数字は変わります。
すると会議では、事業の課題を議論する前に、「どの数字が正しいのか」を確認する作業が始まります。データ活用に必要なのは、データを集めることだけではありません。以下を継続的に管理する仕組みが必要です。
また、属人化は、データ活用の継続性を失わせます。データの加工方法や更新手順が担当者の頭の中にしかない場合、その人が異動、退職、休職すると、データ活用そのものが止まる可能性があります。担当者ごとに異なる方法でデータを加工していれば、同じ分析を再現することも難しくなります。
データ活用を個人の技術に依存させず、組織の仕組みに変えるためには、DataOpsやデータガバナンスの考え方が重要になります。
信頼できるデータを整え、分析できたとしても、それを見せるだけでは人は動きません。
ストーリーテリングをテーマにしたセミナー参加者66名への調査では、社内の意思決定や説得における課題として、次の回答が挙げられました。
ストーリーの組み立てが難しい:49%、上層部にデータの意図が伝わらない:38%、部門間でデータの解釈が異なる:28%、データが多すぎて要点が伝わらない:25%、ダッシュボードが形骸化している:23%(複数選択方式)

最も多かったのは、「ストーリーの組み立てが難しい」で49%でした。つまり、半数近くの回答者が、数字やグラフを作成した後、それをどのように相手の判断につなげればよいかで悩んでいます。売上の低下、利益率の悪化、解約率の上昇といったデータを正確に示しても、相手が次の行動を判断できるとは限りません。人は、データの正確さだけでは、動かないのです。
必要なのは、以下の5つと考えます。
何が起きているのか
なぜ起きているのか
放置すると何が起きるのか
どの選択肢があるのか
何を決めてほしいのか
「売上が10%下がっています」という報告だけでは、相手は情報を受け取るだけです。一方で、「主力商品Aの新規顧客売上が3か月連続で減少しており、特に特定の販売チャネルで落ち込みが大きい。既存顧客の売上は維持されているため、新規顧客獲得施策の見直しを優先したい」と伝えれば、議論すべき課題と求める判断が明確になると思いませんか?
また、相手によって、必要なデータは異なってきます。現場担当者、部門責任者、経営層では、判断したい内容が異なってきます。
現場担当者は、日々の業務で何を変えるべきかを知りたいかもしれません。
部門責任者は、目標との乖離や改善の優先順位を知りたいかもしれません。
経営層は、事業への影響や投資対効果、将来のリスクを判断したいかもしれません。
すべての人に同じダッシュボードを見せても、必要な判断にはつながらないのです。重要なのは、データを減らすことではなく、相手の役割と判断に合わせて、情報の順序と粒度を変えることです。
データ活用の最後の壁は、継続して使われないことです。ストーリーテリングに関する調査では、23%が「ダッシュボードが形骸化している」と回答しました。自由記述でも、次のような声が挙げられています。
| ダッシュボードを面白がって使ってくれる人が少ない。 |
| 社内にデータはたくさんあるが、それを見て判断し、行動する文化がない。 |
| 業務部門は目の前の業務をこなすことが中心で、自分たちの活動が何につながっているのかに関心が向いていない。 |
ダッシュボードを作成し、社内に公開しても、日常業務との接点がなければ、次第に見られなくなります。
データ活用を推進する際に、
「ダッシュボードを作ったので見てください」
「これからはデータを使って判断してください」
と呼びかけるだけでは、現場の行動は変わりません。現場には、既存の業務、会議、報告、判断の流れがあります。新しいダッシュボードがその流れに組み込まれていなければ、利用者にとっては仕事が一つ増えただけになってしまいます。「見てください」だけでは定着しないのです。
データ活用を定着させるには、以下のような仕組みが必要です。
定例会議で必ず同じ指標を確認する
異常値が発生したら担当者へ通知する
データを見た後の対応ルールを決める
判断結果や実施した施策を記録する
施策後の変化を同じ指標で検証する
目指すべきなのは、「データを見る文化をつくる」ことではありません。データを見なければ、日常の業務や意思決定が進まない状態をつくることです。
4つの壁は、それぞれ別々に存在しているわけではありません。一つの段階で問題が起きると、後の段階にも影響します。
このように、企業のデータ活用は、
問いを立てる
↓
データを整える
↓
判断できる形で伝える
↓
行動し、結果を検証する
という一連の流れとして設計する必要があります。
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ストーリーテリングに関する調査では、回答者の56%が、すでにBIツールを導入している企業に所属していました。
データマネジメントや仮説思考に関する調査でも、「すでに導入している」「導入しているが課題がある」という回答が複数見られました。これは、BIツールの導入がデータ活用の完成を意味しないことを示しています。
BIツールを導入すると、データの集計や可視化を効率化できます。しかし、ツールだけでは、
何を分析するか
どのデータを正しいものとするか
誰に何を伝えるか
どの行動につなげるか
までは自動的に決まりません。
BIツール導入後に必要なのは、ダッシュボードを増やすことではなく、データが意思決定に使われるまでのプロセスを設計することです。
生成AIの普及により、データ分析の一部は今後さらに自動化されていくと考えられます。
データの要約、パターンの抽出、グラフの作成、仮説の検証などは、以前より短時間で行えるようになります。
一方で、3つの調査からは、人が担うべき役割も見えてきました。
これらは、単なる分析スキルではありません。
データを使って、組織が動く仕組みを設計する力です。
AIを使えるかどうかだけでなく、AIやBIから得られた情報を、どのように現実の判断と行動につなげるかが、今後のデータ活用の差になります。
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データ活用の改善を考える際は、最初からツールや機能を検討するのではなく、自社がどの段階で止まっているのかを確認することが重要です。
分析テーマが曖昧
KPIが多すぎる
データを見ても、何を判断すべきか分からない
AIやBIに何を尋ねればよいか決められない
必要なデータが複数のシステムに分散している
部門ごとに定義が異なる
更新方法が担当者に依存している
データ品質や権限管理に不安がある
レポートやグラフは作れるが、結論が伝わらない
上層部を納得させられない
部門間でデータの解釈が異なる
情報が多すぎて、見るべき点が分からない
ダッシュボードが見られていない
会議や日常業務でデータが使われていない
データを見た後の行動が決まっていない
一部の担当者だけが活用している
自社のデータ活用の停止地点が分かれば、次に取り組むべき課題も明確になるので、是非一度考えてみてください。
3つのセミナー調査から見えてきたのは、企業のデータ活用が、ツールやデータの不足だけで止まっているわけではないということです。データ活用には、次の4つの段階がありました。
解決すべき課題を捉え、問いを立てる
判断に必要なデータを、信頼できる状態に整える
データを相手が判断できるストーリーとして伝える
意思決定と行動を、日常の業務に定着させる
どれか一つが欠けても、データは成果につながりません。
問いがなければ、何を分析すべきか決まりません。
データが整っていなければ、結果を信頼できません。
伝わらなければ、意思決定は起こりません。
業務に定着しなければ、一時的な取り組みで終わります。
データ活用のゴールは、グラフやダッシュボードを作ることではありません。データを通じて、組織の判断と行動を変えることです。
そのためには、データの収集、管理、分析、可視化を個別の活動として考えるのではなく、問いから行動までを一つの流れとして設計する必要があります。
データ活用が止まる理由は、データやツールが足りないからとは限りません。
何を確かめるべきか分からない。
見るべきデータが整理されていない。
結果を見ても、次に何を判断すべきか分からない。
こうした分断があると、ダッシュボードがあっても、意思決定や行動にはつながりません。では、必要なデータが整理され、知りたいことをそのまま質問できると、分析はどのように変わるのでしょうか。
DomoInsightでは、建設業や製造業など、業界別に用意されたサンプルダッシュボードに、チャットで質問できます。たとえば、次のような問いを投げかけることができます。
利益率が低い案件に共通する特徴は何ですか
不良率が悪化している製品と原因候補を教えてください
優先して確認すべき異常値はありますか
このデータから、次に取るべきアクションを提案してください
分析結果を見るだけでなく、どのような問いを立てれば、次の判断につながるのかも体験できます。自社に近い業界のデータを使って、「問いから行動につながるデータ活用」をお試しください。
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BIツールに蓄積した売上、コストなどのデータをAIが分析し、リスクなどを分かりやすく提示します。 Excelや複数のレポートを見比べる時間を減らし、対応すべき課題の兆候や確認ポイントを発見・検討に集中できることが、AIを活用したBI分析のメリットです。 実際にAIへ質問し、データから課題と次のアクションを導き出す「Insight体験」を、ぜひお試しください。 |
※本レポートは、NDIソリューションズ株式会社が実施した、ストーリーテリング、データマネジメント、仮説思考をテーマとする3つのセミナーアンケートをもとに作成しています。各調査は、回答者、回答数、設問内容、実施時期が異なるため、回答を単純に合算せず、それぞれの調査で確認された傾向と自由記述をもとに分析しています。また、各調査はセミナー参加者を対象としたものであり、すべての企業やビジネスパーソンの傾向を示すものではありません。
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公開日:2026年7月29日