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データウェアハウス(DWH)の構築法と最新トレンドまでまとめて解説

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2024年10月31日 07:30

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全てがデジタル化したビジネス環境において、データの蓄積は膨大になるばかりです。

多くの企業はそれらの蓄積したデータをどのように管理し、活用するかという課題に直面しています。特に、データの一元管理や分析を効率的に行うためのデータウェアハウス(DWH)の構築に関心を寄せる企業は少なくありません。しかし一方で、DWHの構築には専門的な知識と膨大なコストがかかるため、多くの企業が希望に反しその導入に躊躇してしまうという課題もあります。

本記事では、DWHの基本的な仕組みと構築方法、そして昨今のDWHのトレンドについて触れていきます。

特に最近ではDWHの構築の代替案として、データの統合や分析を見据えた統合プラットフォームの導入が主流となりつつあり、従来のデータ分析基盤の構築のやり方から移行している傾向があります。

この記事を通じて、最新のDWHトレンドとその利点を理解し、ぜひ企業のデータ管理戦略にお役立てください。

データウェアハウス(DWH)をわかりやすく言うと?

DWHとは、企業が持っている大量のデータを一か所に集めて整理し、必要なときにすぐに欲しいデータを取り出して使えるようにするための大きな「データ(Data)の倉庫(Warehouse)」です。この倉庫には、異なるシステムや部門から集められたデータが統合されており、分析やレポート作成が効率的にできるような形に整理されて格納されています。

データウェアハウス(DWH)の定義

DWHは、企業の戦略的な意思決定を支援するために設計されたデータ管理システムの一種であり、企業のデータを一元化し、統合することで、ビジネスインテリジェンス(BI)を使って分析作業を効果的に行う基盤を提供します。

DWHには、顧客管理データ、アプリケーションのログファイル、トランザクションアプリケーション、さらに画像や動画など、多様なソースのデータが格納されており、長期にわたるデータ蓄積が行えます。

ですから、この「データの倉庫」にビジネスアナリストやデータサイエンティストがアクセスすれば、価値あるインサイトを得てより良いビジネス判断を下せるようになるのです。

データウェアハウス(DWH)が使われるシーンとは

DWHは、多岐にわたるビジネスシーンで活用される強力なツールです。ただしデータの倉庫といっても具体的にどのように使えるのかイメージが湧きづらいかもしれません。以下では、代表的な使い方について見ていきましょう。

用途 概要
トレンド分析 長期的なデータから、ユーザー行動などにパターンがあるかどうか調べたい際にDWHのデータを活用し、今後の売上や顧客推移といった予測に使えます。
顧客セグメントの作成 顧客情報を分析軸に沿ってセグメント化すれば、ターゲット層の嗜好や行動を詳細に把握することができるようになります。
企業の財務状況管理 すべての部門の情報に一か所でアクセスできるため、DHWは企業の財務レポートを作成にも有効です。
サプライチェーン監視 運送の非効率な箇所、在庫過多または不足を招くボトルネックを特定するのにもDWHがあれば分析しやすくなります。
マーケティング施策の効果検証 顧客行動や販売データを分析に使えば、今後の施策改善をするための重要なインサイトを得やすくなります。
POSデータ分析 店舗のPOSデータを収集し、顧客の購買パターンを掴むこともできます。これによって来店顧客へさらに寄り添った販売戦略の策定も実現できるでしょう。

 

データウェアハウス(DWH)を利用する意義とは

DWHを利用する意義とは、企業やあらゆる組織の大規模データを一箇所に時系列に集めて整理し、データ分析基盤の環境を構築できることです。

つまりDWHはビジネスインテリジェンス(BI)の核であり、ビジネスの意思決定を支援するプロセスを強化する役割を担っているのです。

<DWHを利用するメリット>

メリット 内容
情報の整理と一元化 組織内の異なるシステムやデータベースからの大量データを一箇所に集約し情報が一元化され、データ重複と矛盾が解消される。さらに部門をまたいだ組織横断分析なども実現できるようになる。
高度なデータ分析を促進 データが整理されて統合されるため、分析への負担が解消され、的確なアプローチでの分析を促進するようになる。
スピード感をもった意思決定ができる 時系列でデータを追跡、またテーマごとにデータが整理されるため、ビジネス判断が格段にしやすくなる。

データ分析基盤からみるデータウェアハウス(DWH)の立ち位置

大量かつさまざまな種類のデータをまとめて分析するには、データ分析基盤が必要です。この分析基盤は、データ収集、データ蓄積、データ加工、データ分析の4段階に分かれて構築され、DWHは生データを共通の指標、つまり分析に使えるようデータをカテゴライズして保存する役割を果たします。

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以下では、データ分析基盤の中でのそれぞれの特徴を見ていきましょう。

データウェアハウス(DWH)とデータレイクとの違い

データレイクとは、さまざまな形式のデータを格納できる集中型のストレージシステムです。構造化データ(※1)、半構造化データ(※2)、非構造化データ(※2)を問わず、原形のままの保存が可能となります。

データレイクの利点は、データの前処理や整形を行わずに保存できるため、多様なデータソースからの情報を目的問わず収集できることです。

また、DWHへデータを渡す際に、ETL処理(データの抽出(Extract)、変換(Transform)、書き出し(Load))がされます。

データレイクはすべてのデータを収集・集約するのに対し、DWHはデータ分析を意識し整形・加工したデータを格納する点が大きな違いとなります。

(※1)構造化データとは
構造化データとは、明確な形式と順序を持ち、容易にアクセスや管理が可能なデータのことを指します。例えば、データベースのテーブルに格納される行と列の形式のデータがこれに該当します。各データは固定されたスキーマに従っており、SQLなどのクエリを使用して効率的に操作や分析が行えます。

(※2)半構造化データと非構造データとは
半構造化データは、構造化データほど厳密な形式を持たないものの、タグやマークアップなどを使用してある程度は構造化されているデータを指します。画像や写真などはデータが構造化されておらず非構造化データと呼ばれる一方で、半構造化データはJSONやXMLファイルのように、整理すればデータベースのテーブルには情報として格納できるレベルである、構造化データのように厳格なスキーマには従わないが柔軟性のあるデータを指します。

データウェアハウス(DWH)とデータベースとの違い

データベースは、データを安全に保存し簡単にアクセスできるようにするためのシステムです。様々なデータの集合体を組織的に管理するための構造になっており、多くの場合、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)を使用してデータを行と列の形式で格納します。

データベースの主な目的は、データの整合性とセキュリティを保ちながら、データの追加、更新、削除といった、日常的に発生するトランザクションや運用データの管理を効率的に行うことです。

データベースは日々の業務データの管理とトランザクション処理のために使用されるのに対し、DWHは効率的にデータ分析が行えるようなデータ格納をする点が大きな違いになります。

データウェアハウスと(DWH)データマートとの違い

データマートは、DWHから派生した特定のビジネスライン、部門、または主題領域に焦点を当てたデータのサブセットです。データマートによって特定のユーザーグループに必要な範囲のデータが提供されることで、ユーザーがDHW全体を検索せずに重要な洞察に迅速にアクセスできるようにします。
例えば多くの企業では、財務、営業、マーケティングなどの特定の部門に合わせたデータマートを持っています。

データマートはDWHの一部ですが、より狭い範囲で特定の部門やチームのニーズに特化し、使いやすくしている点が特徴です。

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データウェアハウス(DWH)の仕組みとアーキテクチャ

DWHには、たくさんの情報が整理されて保存されており、いくつかのデータベースによってデータの管理がされています。

データベース内では、情報は「テーブル」と呼ばれる、いわゆるExcelの表のようなもので管理されます。各列内では数字や文字列といった、データの種類が定義され、これらはスキーマの中に作成されます。

スキーマとは、データベースの中でテーブルを整理するための「フォルダ」のようなものです。スキーマを使えば、どのテーブルにどんな情報があるのかを簡単に見つけることができます。

またデータを分析するときには、「クエリツール」と呼ばれる特別なプログラムを使います。このツールは、スキーマを見て、どのテーブルにどんなデータがあるかを理解し、必要な情報を取り出して分析します。

このようにDWHでは複雑な情報を整理し、必要なときにすぐにデータが使えるような設計がされているのです。

これを実現する構造は層状になっており、下から順に「データレイヤー」、「セマンティックレイヤー」、「アナリティクスレイヤー」に分かれています。この構造は必ずしも3層であるだけでなく、1層だけ、あるいは2層レイヤーになるなど利用規模に応じて構造が変化することもあります。

bi-dwh-construction-vol-56_Three-tier-structure-of-a-data-warehouse

アナリティクスレイヤー(最上層)
フロントエンドのレイヤーで、データアナリティクスアクセスツールが含まれています。このアクセスツールからユーザーはデータ探索や分析が可能になります。

セマンティックレイヤー(中層)
この層でデータの変換が行われます。データを分析しやすい形に整える作業がここで行われます。

データレイヤー(最下層)
複数のデータソースからデータがETLによって処理され、格納された大量データのクレンジング、結合、集約処理を行います。

データウェアハウス(DWH)の4つの特徴

DWH内部の構造が分かったところで、次はDWHが持つ主な特徴についてみていきましょう。

bi-dwh-construction-vol-56_4-Characteristics-of-a-Data-Warehouse

  1. 主題指向性
    DWHは、特定のサブジェクト(主題)に基づいてデータを整理します。例えば、「顧客」や「商品」といったカテゴリーごとにデータを集約し、それらを一元的に管理します。これにより、特定の分野に関する詳細な分析が可能となるため、より深いインサイトを得ることができるようになります。
  2. 統合性
    異なるデータソースやシステムから収集されたデータは、DWH内で統一された形式に変換されます。データの形式や品質が異なる複数のデータソースを一つのデータモデルに統合するので、データの重複や矛盾もこの段階で解消されます。
  3. 時系列性
    DWHでは、データを時系列で保管します。そのため過去の任意の時点でのデータ状態を確認することが可能となり、時間の経過に伴う変化やトレンドを分析できるようになります。
  4. 不揮発性
    DWHに保存されたデータは、基本的には変更されることがありません。データは追加のみ行われ、一度DWHに格納されたデータの削除や更新はほぼありません。この不揮発性により、データの一貫性と長期的な安定性が保たれ、いつでも一定のデータ状態を参照することが可能となります。

オンプレミス型と比較するクラウドベースデータウェアハウス(DWH)とは

ITシステム全体がクラウド移行に傾向する中、DWHもその流れを汲んでいます。従来のオンプレミスデータウェアハウスとクラウドベースデータウェアハウスとの主な違いは、インフラストラクチャの設置場所、コスト構造、管理の柔軟性、スケーラビリティ、そして何といってもイノベーションの導入速度にあります。

特に最初は予算が調整できないといった問題なども、クラウドベースであれば予算に応じた使い分けが可能なことも大きな理由と言えるでしょう。

その他、例えば管理コストについても、クラウドベースであれば物理的な管理はプロバイダーが担当するため、その分コストが削減できるだけでなく、新たな機能のアップデートも自動で行われます。常に最新テクノロジーに触れられるので、ビジネスで一歩先をリードできる理由として人気が高まっています。

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データウェアハウス(DWH)構築の基本の4ステップ

データウェアハウス(DWH)の構築は、企業のデータ管理と分析を効率化するための重要なプロセスとしての意味を持ちます。この章では、DWHの構築を4ステップに分けて解説します。

  • 要件定義
  • 設計
  • 実装・ローンチ
  • 運用保守

ステップ1: 要件定義

DWHを導入するにあたって、最初に利用ユーザーや関係者と共に要件を詰めていきましょう。例えば何のために導入するのか、ユーザーの使用頻度や業務プロセス、KPI、データ分析の種類など、事前の認識合わせや合意形成をしていくことが大切です。

ステップ2: 設計

次に設計に入ります。設計時には以下のような項目を決定していきます。

  • ウェアハウス環境:クラウド、オンプレミス、ハイブリッドの選択
  • 開発環境:開発、本番、テスト環境の用意
  • データモデル選択:データの格納方法(スキーマ)を選択
  • セキュリティ:データのアクセス権やセキュリティ要件の定義

ステップ3:実装・ローンチ

実装からローンチにかけては、以下のような作業が必要となります。

  • リソースの確認: DWH構築に必要なハードウェアやソフトウェアのリソース確認
  • ETL開発: データ抽出~DWHへのデータロード
  • データマート作成: アクセスユーザー設定とデータビューの作成
  • BI接続: DWHとBIを接続
  • ソフトローンチ: 初期導入テスト実施による社内最終調整 

ステップ4: 運用保守

DWHの運用が開始したら、パフォーマンスを定期的に監視し、ユーザーの使い勝手など満足度も評価していきましょう。

その後ビジネスの拡大に伴い、DWHを新しい要件に合わせて更新していくなど、状況に応じて柔軟に設定改修や更新対応をしていくことが大切です。

データウェアハウス(DWH)構築に必要なメンバーとは

DWH構築をする際には、事前に必要な役割とメンバーに振り分けるタスクを理解しておくとスムーズにプロジェクトを開始できます。以下の表では、DWH構築において必要となるメンバーの役割についてまとめました。

役割 主なタスク
プロジェクトマネージャー プロジェクトの範囲、成果物を定義し、リソース、時間枠、予算の見積もりを含むプロジェクト計画などを作成。プロジェクト全体を管理、統括する。
ビジネスアナリスト ビジネス要件を整理し、エンジニアへ要望を伝える。データモデリング、データマッピングなどの段階で主にサポート。
データモデラー テックスタック選定サポート、アーキテクチャの開発と実装の全プロセスを管理する。
データウェアハウス管理者 DWH内テーブル管理のほか、データバックアップや回復戦略を策定する。
ETL開発者 データ抽出、変換、ロードを効率的に設計し、実装する。
QAエンジニア DWHの機能とデータの正確性などテストを通じて発見、フィードバックする。

上記のほかにも、例えばDWHを社内で利用するための導入サポートを行う人、DevOpsエンジニア、ソリューションアーキテクトなど、高度な技術的課題を解決できる人材、またシステム開発と運用プロセスをより迅速にできるような人材も巻き込むと良いでしょう。

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最近のデータウェアハウス(DWH)利用の流れ

昨今のDWH利用トレンドとして、単なるデータの集約や分析だけに使われるのでなく、AIや機械学習を活用した高度なビジネスインテリジェンス(BI)へと進化を遂げています。特にこの流れを加速させたのが、データ分析基盤をオールインワンで提供するサービスです。

従来のDWH構築は、高額な初期投資と専門的な人材を必要とするため、多くの企業にとって大きな負担となっていました。特に中小企業ではこれらのリソースの確保が困難であり、プロジェクトの進行において重大なボトルネックとなりやすい点が課題になります。

こうした背景から、システム構築における開発を社内でせずとも、迅速に導入可能で必要な機能が搭載されているサービスへの需要が迅速に拡大しました。

そのトレンドを代表する製品が、Domo(ドーモ)なのです。

Domo(ドーモ)とは

Domoはアメリカ発の製品で、一般的には「BIツール」と呼ばれるカテゴリーに分類されますが、他のBIツールとは大きく異なる特長を持っています。

まず一般的にBIツールとは、分析用にDWHに格納されたデータを抽出し、グラフやチャート、ダッシュボードによって視覚的に分かりやすくデータを見せることができるツールとして定義されます。

通常ですとETL、データレイク、DWHそれぞれの構築とBIツールの接続を行う必要がありますが、DomoはETLからBIツールまでをトータルにカバーしており、統合型BIプラットフォームという新たな分野を生み出しました。

データ接続コネクターは1,000種類以上あり、ITに詳しくない一般ユーザーでも、社内のあらゆるデータを簡単に取り込めてしまうのも、非常に魅力的な点として人気を集めています。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では、データウェアハウス(DWH)の仕組みと特徴、そして構築ステップについて解説しました。

DWHの構築は大きく4つのステップに分解できますが、それぞれ検討事項が多く多くの関係者を巻き込む必要性があり、予算が少ない、社内に人材がいないなど企業規模が小さくなるほど導入へのハードルが高いことが課題です。

最近ではそのような課題を解消するような、ETLからBIツールまで一貫してカバーする統合BIプラットフォームに注目が集まっています。

DWH構築を検討しているなら、そのような別の選択肢も含め、どちらが自社のニーズに近いのかも比較してみると良いでしょう。

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