
2026年02月10日 07:30

経営ダッシュボードは、企業のデータを戦略に直結させる強力なツールです。DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に置いて、膨大なデータをただ集めて可視化するだけでは価値がありません。効果的な経営ダッシュボードを構築するためには、適切なグラフの選択が欠かせません。適切なグラフを選ぶことで、データから得られる事実を明確にし、迅速かつ効果的な意思決定を支援します。
本記事では、経営ダッシュボード設計の基本とデータ可視化の重要性、経営ダッシュボードでのグラフ選択のポイントまでを解説し、ビジネスのDX推進に役立つ情報を提供します。
まず最も重要なのは、経営ダッシュボードを作る目的(ビジネスクエスチョン)を明確にすることです。多くの企業が、「データがあるからグラフを作る」というアプローチを行いますが、これにはビジネス上の具体的な目標や課題にどのように寄与するかの視点が欠けていることがあります。結果として、方向性を欠くグラフやダッシュボードが作成され、戦略的な意思決定を支援するどころか、混乱を招くこともあるでしょう。
経営ダッシュボードは、以下のような根本的な問いからスタートします。
ビジネスの現状と将来に対する疑問や課題に焦点を当て、市場動向、競争環境、内部資源の有効性を評価することが、経営ダッシュボード設計の出発点です。これにより、データに基づいた意思決定をサポートするための必要な情報を収集し、経営ダッシュボードを単なる情報表示ツールから戦略的な意思決定ツールへと昇華させます。
市場動向:現在の市場トレンドは? 顧客のニーズや期待はどう変わっているか?
競争環境:主要な競合企業はどこか? 競合企業はどんな戦略を採用しているか?競合との比較で勝ち筋はあるか?
内部環境:自社の強みと弱みは? 社内のリソースや組織構造は適切か?
ビジネス戦略:現在のビジネスモデルは有効か? 新しい市場や製品の開発は必要か?
これらのビジネスクエスチョンを明確にすることで、経営ダッシュボードは「情報表示」ではなく経営判断を支えるツールになります。組織全体を経営戦略や目標に向けて効率的に動かすために機能するはずです。
データ活用成功のポイントは組織内の「みんなで取り組むこと」
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経営ダッシュボードは、以下3ステップで設計するのが基本です。
会社の課題を洗い出す。
KPIを明確に設定する。
必要なデータを収集し、最適なグラフで可視化する。
KGI:「Key Goal Indicator」(重要目標達成指標)
最終的な成果・ゴール指標
経営ダッシュボードでは、両者を整理することが可視化設計の第一歩です。
同じデータでも グラフの選択次第で、読み取りやすさは大きく変わります。また、適切なグラフは「視覚的理解」を助け、意思決定の質とスピードを高めます。
ダッシュボード上でのグラフ選択は、伝えたい情報や追跡したいKPIに最適なものを選ぶことがポイントです。例えば、売上の月次推移には折れ線グラフが最適かもしれませんが、部門別売上構成比を示すには円グラフが適しています。
グラフの選択には絶対的なルールはありません。感性や好みも影響します。しかし、グラフ選びの基本ポイントは以下であるといえるでしょう。
「何を伝えるためのグラフか」がはっきりしている
見た瞬間に、状況・異常・トレンド が直感的に分かる
シンプルで、必要なアクションにつながるデザインが理想的
以下に示す図1は、売上と前年度売上を同時に示し、色分けされた棒グラフと折れ線グラフを組み合わせることで、どの月が目標を達成しているか(または達成していないか)が一目でわかります。このグラフは、データの読み取りや解釈を容易にし、迅速な意思決定を支援します。

なんとなくそれっぽく出来ていて「いい感じ」に見えたでしょうか?以下の視点はどうでしょう?
見る人の目線を意識しているか?
折れ線、縦棒グラフどこを注視すればよいか?
図2では、前年度予算と前年達成率を取り除き、よりシンプルなデザインにしました。これにより、KPIの予算と月次売上推移が一目で確認ができるようになりました。予算達成率を見ると、常に予算が未達であることが明らかになります。

KPIの見える化、適切なグラフ・データの選択がいかに重要であるかをご理解いただけたのではないでしょうか?
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どのグラフを使用すべきかは、伝えたい内容や目的によって異なります。ここでは、一般的なグラフの種類とその特徴、適切な使用例について解説します。
棒グラフは、複数データの量の比較に非常に有効で、例えば複数の月間売上を比較する際に役立ちます。各月の売上が一目で比較でき、低かった月に焦点を当てることで、改善戦略を立てることが可能です。
折れ線グラフは、時系列での傾向を明確に示します。売上推移や成長率などの変動する数値を視覚的に追跡します。期間を通じてのデータの上昇や下降を一目で理解することができます。
円グラフは、全体に対する各部分の割合(内訳構成比)を視覚的に表現し、売上構成比・市場調査結果や収益構成の分析に適しています。例えば私が最近見た円グラフは、高校球児に聞いた「試合するならどこ?」というアンケート結果です。一番割合が大きかったのは「甲子園」、少数派で「涼しいドーム」もありました。とても分かりやすくて、今でもしっかりと印象が残っていますね。
レーダーチャートは、複数の指標を同時に比較でき、製品やサービスの多角的評価に有効です。異なるカテゴリーの性能を一覧できことで、全体的な強みと弱みを把握できます。下のグラフは2024年の筆者の健康診断結果のレーダーチャートです。毎日のウォーキング効果でほぼ基準範囲内!

散布図は、2種類のデータの関係性(相関関係)を視覚化し、例えば広告費と売上の関係など、因果関係を探るのに役立ちます。下図は体重(X軸)と身長(Y軸)は相関関係があることが把握できます。

ヒートマップは、色の濃淡で情報の密集度を示し、地理的なデータの分布分析やウェブサイトのユーザー行動分析(HPのどの部分がよくクリックされるかなど)などに使用されます。

バブルチャートは、3つのデータ次元(X軸、Y軸、およびバブルのサイズ)を用いて情報を可視化し、複数の情報を一度に比較可能です。特に市場調査や人口統計などの分析に役立ちます。例えば、採用時の適性試験を可視化した下記グラフですと、「意欲」(緑)が一番高いのは福島さんで、適正が一番低いのが野田さんといった形で規模、割合、位置関係が瞬間的に把握することができます。

比較:棒グラフ、折れ線グラフ、レーダーチャート、バブルチャート
関係:散布図
構成:円グラフ
分布:ヒートマップ
このセクションでは、グラフの選択がデータの解釈と意思決定にどのように貢献するかを具体的に説明し、各種グラフがどのような状況で最も効果的かを解説しました。適切なグラフ選択の一助になれば幸いです。
データの利活用と定着化を進めるために重要な「6つの柱」を解説!
データドリブン経営への変革の道
どれほど優れたシステムやデータを持っていても、見せ方を誤ると経営ダッシュボードは“価値のないツール”になってしまいます。
実際、多くの企業で「見づらい」「使われない」「経営に活かされない」ダッシュボードが散見されます。ここでは、避けるべき代表的なパターンとその理由を解説します。
ダッシュボードは「伝えるツール」ではなく「動かすツール」
最終的に重要なのは、ダッシュボードを見た人が何らかの“行動”を起こせるかどうかです。つまり、視覚的に伝わるだけでなく、「見たら動きたくなる」ダッシュボードこそが理想です。
このブログを通じて、データの可視化におけるグラフ選択の重要性をご理解いただけたでしょうか。データをただ表示するだけではなく、それを戦略的に利用することが、企業の成長と効率の向上に不可欠です。ビジネスクエスチョンの正確な可視化は、ただのデータ表示以上の価値を持ちます。適切なグラフを選択し、データを効果的に解釈することで、以下のような複数のメリットをもたらします。
意思決定の迅速化と質の向上:クリアなデータ視覚化は、迅速かつ正確な意思決定を支援し、結果として業務の効率が大幅に向上します。
コミュニケーションの向上:チームやステークホルダー間でのデータに基づくコミュニケーションがスムーズに行われ、誤解を避けながら効率よく情報を共有できます。
発見:データから新たなビジネスチャンスや改善点を発見し、戦略的なアクションを起こすことが可能になります。
問題の早期発見と解決:問題が明らかになりやすく、それを早期に対処することで大きなリスク回避につながります。
エンゲージメントの向上:従業員がデータを理解しやすくなることで、業務への関与と責任感が増します。
ビジネスクエスチョンを明確化することは、企業にとって単なるデータの可視化以上の価値があり、意思決定の質とスピードを向上させるための強力なツールとなります。適切なグラフ選択を行い、チーム全体のエンゲージメントを高め、新たなを得ることが、競争力を強化し、持続的な成長の促進につながります。このブログが、あなたのビジネスのデータ可視化戦略に役立つことを願っています。
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公開日:2026年2月10日
勝田 晃生 |
ブログ執筆者 システム開発の現場で約30年にわたり要件定義・設計・運用まで一貫して担当。現在はDomo のカスタマーサクセスとして、導入計画、データ連携、ダッシュボード設計、運用の内製化支援を行う。「現場が使い続けられる可視化」をモットーに、データからの気づきと業務の省力化を両立させる伴走支援に取り組んでいる。 |