2023年03月14日 08:30
単体でも様々なメリットがあるkintone(キントーン)ですが、他のシステムと外部連携できることをご存じですか?kintoneを外部連携させれば、さらに大きな効果を発揮します。人事部門所属の筆者が実際に導入した「給与処理業務の効率をUPするkintone外部連携事例」をご紹介します!
毎月、人事部門の神経が削られるビッグイベント「給与処理」業務。処理に必要な情報収集に始まり、給与処理用の資料作成、給与システムへの入力、処理内容のチェック・・・。給与処理担当者は、様々な作業を短い期間の中でスピーディーかつ正確に対応しなくてはなりません。
特に身上異動など社員からの申請に基づく給与処理は、社員の数が多いほど毎月の対応は比例していきますよね。社員に起きた様々な変化を全て給与に反映していかなくてはなりません。
しかし、重要業務の割に担当者の記憶や対応のみに頼っていませんか?しかも属人化していませんか?もしも、担当者が社員からの申請を見逃してしまったら?入力間違いしていたら?考えただけで恐ろしいですね。また、処理用の資料や給与処理システムなど複数部分に同じ情報を何度も入力することがあります。これらもスピーディーかつ正確さが求められる給与処理において担当者を悩ませている原因の一つだと思います。
一度ミスをしてしまうと、翌月以降の給与処理や社会保険にまで影響することもあり、リカバリーに倍以上の時間と労力がかかります。その上「ミスしないのが当たり前」な人事部門としての立場も辛いものがありますよね・・・。人事部門に所属している私は「担当者の人力や精神論に頼らない良い処理方法はないのかな?」と毎月感じていました。
社員からの申請に基づく給与処理において、担当者の人力に頼らない業務効率UPの秘策が、まさに「kintoneと他システムとの外部連携」なのです!
ここでの重要なポイントは、「必要な情報を漏れなく収集」し、「手入力する機会を極力減らす」こと!そのため今回kintoneと外部連携したのは【社員からの社内申請書の申請システム(エイトレッド社のX-point Cloud)】と【給与処理システム(OBC社の給与奉行)】の2システムです。
その1では、社内申請書の申請システム(X-point)とkintoneの外部連携について詳しくご紹介していきます!
まず、社内申請システム(X-point)とkintoneを「kintone連携ツール」を使用して、申請書ごとに連携設定を行います。kintoneのレコード上に「給与チェック区分」をあらかじめ設定しておけば、数ある社内申請書の中から「給与処理業務に必要な申請書だけ」を自動でピックアップすることが可能です。
次にkintone上に、給与システム(給与奉行)と同じ「全ての給与支給控除項目」欄を作ります。そして、X-point申請書の該当項目とkintone上の給与で処理する際の支給控除項目を紐づけます。
これらの設定を行うことで、社員から出てきた給与業務に必要な申請書は、自動でkintoneのDBアプリに蓄積。さらに、申請書に記載された該当金額が給与処理で使用する処理科目に自動で入ります。
画像の例で具体的にご説明しますと、X-pointにて社員が〇〇申請書(画面左)を提出すると、申請書に記載された手当額(16,000円)がkintoneDB(画面右)内の該当する支給控除項目(その他2)= 給与処理システム内の処理項目(その他2)と同じ名前 欄に自動で入るようになるのです!イメージできましたでしょうか?
最後に、同月内に同一社員に対しての変更(申請)が複数ある場合の対応をしていきましょう!kintoneにて同月内に複数の変更があった社員ごとに、変更した全項目をまとめるDBアプリを別途作成します。
そうすることで1人の社員の変更項目が1行に全てまとまった一覧が作成されます。つまり、同じ処理科目に2つの申請に基づく変更があった場合でも、最終的に給与処理システムに登録すべき合算された数字になるのです!
また、kintoneで作成した一覧は、csvファイルに出力できます。
弊社では、従来給与処理に関係する社内申請書は、申請書が担当者に回ってきたときに手動でコピーし給与処理に必要なフォルダに保管するという対応をしていました。また、複数の変更がある場合は、複数の申請書を基にExcel等の給与資料内で合算させる対応をしていました。
そのため、申請書が処理されるだけで給与に必要な申請書がピックアップされ、給与で処理する際の金額にまとまるのはミス防止と時間短縮になりました!
ノーコード・ローコードのkintoneで内製化
を実現する方法 資料のご紹介
その2では、給与処理システム(給与奉行)とkintoneの外部連携について詳しくご紹介していきます!
給与処理システム(給与奉行)の連携については、「DataSpider Servista(セゾン情報システムズ社のデータ連携ソフト)」と「nConnect(NDIソリューションズの奉行連携ツール)」を利用します。
はじめに、DataSpiderを使用し、その1でご説明したkintone上で作成した全ての給与支給控除項目欄とOBC奉行の受入記号をマッピングしていきます。
次に、指定したフォルダ内にkintoneから出力したcsvファイルを保存すると、それをトリガーとしてDataSpiderが起動。nConnect の機能のひとつである「OBC受け入れ形式データ書き込み」を利用して指定したフォルダ内に給与奉行の受け入れ形式(OBC奉行の受入記号付き)へ変換されたcsvファイルが作成されます。
最後に、生成されたcsvファイルを給与奉行の汎用データ受入メニューより受入れます。通常、給与システムでの処理は、社員ごとに変更項目を手入力していくことが多いと思いますが、これで社員から出てきた申請書から給与処理システム入力まで、担当者が手入力を行わず実行できるのです!そのため「処理すべき申請を見逃さない」「転記しなくてよいので時間短縮&入力間違い防止」「ペーパーレス(テレワークも可能!)」などの効果が得られ、今まで担当者の人力に頼っていた部分が、誰でもミスしづらい環境に生まれ変わります!
今回は、給与処理担当者である筆者が、部内や情報システム部門の協力を得ながらkintone外部連携を導入した事例をご紹介させていただきました。Kintoneを各システムと外部連携し、社員からの申請に基づく給与処理が自動化され、時間短縮と転記等による入力間違いや見逃しを減らし、給与処理の効率と精度を向上させてくれる効果がありました!
DX素人である人事部門所属の筆者がこの外部連携を成功させられた最大の鍵は、2つだと感じています。それは、「チームでの作業」と「設計図づくり」です。
「チームでの作業のメリット」は、当然ながらチームに参加する方それぞれの豊富な知識や技術を集結できること。kintoneはITに不慣れな人事部門でも大変使いやすい設計になっていますが、外部連携には、kintoneやDataSpiderに詳しい方が参加してくれると更に心強いですね!また、様々な立場から意見を交わせば、当初の想定をはるかに超えたアイディアが浮かびます。今回ご紹介した外部連携のフローも、チームでの会話によりアイディアがいくつも生まれ、当初の形よりだいぶグレードアップしました。
そして、チームでの作業をより正確で効果のあるものにするのが、「設計書づくり」です。設計書は、チーム全員の認識を統一させ、どのようなシステムをどうやって連携して運用するかという大枠のもの。そして、どのような項目をどんな内容で処理させるか・どの項目を連携させるのか・連携させるには何が必要なのか・・・という詳細のものです。設計書をきちんと作成しておくことで、変化していくアイディアの最終版を共通認識にできるだけではなく、作業の対応漏れを防止してくれました。
業務改善とは終わりがないもので、今回のシステム連携も完ぺきではない部分もあります。また、今後外部要因に基づく処理方法の変更もあるかもしれません。しかし、運用しながら簡単に自分たちで手直し、ブラッシュアップできるのがkintone最大の武器!
ご自身の会社の処理方法、お使いのシステム、モヤモヤを感じている処理などに合わせて、改善できる業務は無限に広がると思います!まずは小さな一部分の連携から始めてみるのもおススメですよ!
当サイトでは、AIチャットボット、kintone活用、ChatGPT、総務DXに関するダウンロード資料をご用意しております。ご興味のある方はぜひダウンロードいただき、資料をご活用ください。