2022年09月13日 18:30
総務のシステム化を進めていくに際しては「業務の自動化」が重要なテーマとなります。手が掛かっていた業務を自動化できれば現場担当者の負荷は軽減され、より付加価値の高い仕事に取り組む時間を増やせます。
では、業務自動化の恩恵を最大限に享受するには、どのような業務を自動化するのが適しているのでしょうか。
自動化に使われる代表的なツールであるRPA(Robotic Process Automation)の導入を検討していると次のような意見を見ることがあります。
「複雑な業務の自動化はできない」「費用対効果が出にくい」「ラストワンマイルの自動化は難しい」
こうした意見が出てくる原因として、自動化する業務の選定に失敗していることが挙げられます。
それでは総務のシステム化にあたり「自動化に向いている業務」とは、どんな業務なのでしょうか。
この記事をご覧になっているということは、既に自動化したい業務のイメージを持たれているのかもしれません。しかしその業務は本当に自動化に向いているのでしょうか?その業務を自動化して本当に効果が得られるでしょうか?自動化後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないように、今一度、自動化の観点から、総務のシステム化の対象業務を見直してみましょう。
RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)はPCで行う人間の手作業をソフトウェアによって自動化することができます。
PCの中で動くソフトウェアのロボットに人が行っている操作手順を登録しておけば、その手順に従って人間に代わって自動で作業をしてくれます。
近年のRPAツールでは、GUIベースで自動化プログラムを組むことができるようになりました。また、自動化の核となるオブジェクト(UI)の検知の精度も高まっています。オブジェクト(UI)の検知には、AIを使用することもできるようになっており、自動化の幅と精度は広がっています。
アプリケーション間の連携も、APIや専用のプラグインが用意されており、パラメーターを数個設定するだけで連携が実現できるなど、より容易に開発できるようになっています。
そのため、RPAを利用すれば「人が手順やルールに則っておこなっている業務」、あるいは、「既存のルールは存在しないがこれから落とし込むことができる業務」なら、必ずと言っていいほど自動化できるようになっています。
いかがでしょうか?「総務部門の業務をシステム化すると言っても、この業務は難しいだろう」と自動化を諦めていませんでしたでしょうか?
RPAの進化により、ほぼどんな業務でも自動化を実現することができるようになっています。では、総務のシステム化の中でもどういった業務を自動化すれば、自動化の恩恵を最大限得られるのか、について次に述べていきます。
「人が手順やルールに則って行っている業務」はほぼ全て自動化できますが、そうしたものにも「自動化しやすい業務」と「自動化しにくい業務」があります。
簡単に見分け方を書くと以下のようになります。
ただし、「自動化しにくい業務」も自動化できないという訳ではありません。自動化の前に「業務の最適化」「業務のルール化」のステップを設ければ、「自動化しやすい業務」にすることができます。
業務のパターンすべてを自動化対象とする必要もありません。いくつかのパターンをルール化し自動化、それ以外は人間で対応するという自動化も実現可能です。
属人性が高い等の理由でシステム化が難しいとされている「ラストワンマイル」と言われるような業務も担当者がルールに則って判断をしているはずです。そのような業務もルールに落とし込むことができれば自動化することができます。これらは自動化で得られる効果との兼ね合いで自動化可否の検討をするのがポイントです。
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「人が手順やルールに則って行っている業務」はほぼ全て自動化できると述べました。また、そうした業務にも「自動化に適した業務」と「適さない業務」があることをご説明しました。ここではさらに「自動化に適した業務」とはどういった業務かを説明します。
以下の順で「より自動化に適している」と言えます。
毎月、全社員分繰り返される、勤怠管理業務や、給与計算業務などは大量に繰り返される業務といえます。管理や計算も既存のルールが存在していると考えられるため自動化もしやすいと言えるでしょう。
各種手続の処理業務は、申請がトリガーとなって発生する業務なので、勤怠管理や給与計算の業務に比べると、業務のボリュームはそこまで多くないといえます。
ですが、従業員数が多ければ多いほど、申請の種類が多ければ多いほど、これらの業務の総量も増えます。総務部門の皆さんがどのくらい時間を使って業務に当たっているのか、業務ボリュームを確認してみましょう。
機械的に処理できる申請に関しては自動化し、稟議書や報告書など、人が内容を確認する必要がある申請に関しては自動化対象外としてもいいでしょう。
人が内容を確認する必要がある申請に関しても、しきい値を定め、それを下回る申請は自動承認、それを上回る場合には、どの値がしきい値を超えているのか、ロボットから人へ業務を引き継ぎやすいようにアラートを出すということもできます。
前に述べたように「自動化しやすい業務」の方が開発コストは少なく済みます。また、RPAロボットは24時間365日休まず稼働させることができます。そのため大量に繰り返される定型業務などは、効果が出やすく、「自動化に適している」と言えます。
反対に、「自動化に適さない業務」とは、「自動化しにくく、大量には繰り返されない業務」です。そうした業務を苦労して自動化しても、大した効果を得られず、最初に述べたような「複雑な業務は自動化できない」「費用対効果が出にくい」といった結果に繋がりがちです。こうした観点で、総務部門のシステム化・自動化対象の業務を見直してみてください。
総務のシステム化と業務の自動化にあたって、その対象業務の選定の大切さがわかっていただけたかと思います。自動化したい業務は、自動化しやすいのか、自動化に適しているのか、検討してみてください。最適な業務を自動化することで、総務のシステム化の恩恵を最大限に享受できるようにしましょう。業務の自動化により、採用業務や各種制度に関する業務など、人にしかできない業務に注力できるようになるといいですね。これこそが総務のシステム化の目的でもあります。ぜひ自動化にも着目して、デジタル技術を活用し会社を変えていく総務部門へと進化して頂きたいと思います。
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