チャットボット導入後の課題:効果的な運用で使えるチャットボットへ

2022年10月11日 20:00

近年、社員や顧客の満足度アップ、人件費削減、業務効率化などの手段として企業でのAIチャットボット利用が注目を浴びています。
AIチャットボットとは、AI(人口知能)によって利用者(ユーザー)の質問や問いかけを理解し、それに応答する自動プログラムを言います。
企業の社内利用では、人事や総務部門等へのパターン化した問い合わせへの対応のためにAIチャットボットを導入することで、業務効率化が大きく期待できます。これによって人事や総務部門の担当者は効率化できた時間を活用して、より創造的な業務へ注力することも可能になります。

しかしながら、AIチャットボットの導入には様々な課題が存在します。AIチャットボットを導入しても、充分な効果が出ない場合や、最悪の場合、利用者から「思った回答が返ってこない」「回答は得られたが、次の業務にはつながらない」というクレームに発展してしまうこともあり得るのです。
AIチャットボット導入の際には、あらかじめどのような問題が起きるかを予想した上で、想定される問題を回避する方法を検討しておくことが大切です。
本記事では、AIチャットボット導入の際の課題を解説し、具体的な解決策について紹介していきます。

 

 

チャットボット課題克服への鍵:効果的シナリオで満足度向上を実現する

利用者がどのような問題を抱えているのか、どのような種類の質問をしてくるのか、どのような観点での質問をしてくるのか、最適な回答は何か、などを想定したQ&Aが用意されていない場合、利用者を満足させられる結果に到達することができません。

その解決策として、AIチャットボット導入の準備段階では、問題を解決できるための「シナリオ(ストーリー)」に沿った回答を用意することが重要となります。

同じ回答であっても別の観点からのアプローチであれば、シナリオが変わります。

シナリオを作成する際には、

  • よくある質問の整理(どんな問合せや質問が多いのか、FAQの確認と分析)
  • 利用者(ユーザー)の性別、年齢、背景などの属性とニーズ

などのポイントを考慮し、想定した利用者が最短で満足する結果に行き着くためのストーリーを作成して、回答を登録するとよいでしょう。

また、AIチャットボットと有人窓口を併用するケースでは、どこまでをAIチャットボットでの対応とし、どこからを有人窓口での対応とするのかを決めておくことも重要なポイントです。
よくある質問(FAQ)については、AIチャットボットで対応し、より専門的な内容については、有人窓口へ導くように、シナリオを作成するとよいでしょう。AIチャットボットによっては答えられない質問を有人窓口(担当者)へ自動でメッセージを送る機能も持っています。AIチャットボットと有人窓口の違いと目的を明確化し、それぞれを活用するのも利用者の満足度を高める方法の1つと思います。

人事や総務部門の業務での利用であれば、AIチャットボットから、関連するシステムへの導線をシナリオに組み込むことも考慮すべき点の1つと考えられます。例えば、社員からの「有給休暇について教えて」という問い合わせに対して回答した後に、「有給休暇申請システムの手続きはこちらから」と人事申請システムへ誘導することができれば、社員はスムーズかつ確実に申請へと進められることでしょう。

 

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チャットボットの課題は導入後に育てて解決する

AIチャットボットは、導入することがゴールではありません。利用者の役に立ち、人事や総務部門の担当者が問い合わせ業務に要する時間・工数を削減できなくてはなりません。

そのためには「導入後」の進め方が重要なのです。導入後に継続的なメンテナンスを行い、内容を充実させていくことで効果を生み出します。これもAIチャットボット導入に際して意識しておくべき重要なポイントです。

まずは、スモールスタートで開始し、少しずつ「満足につながるQA」を学習させていくことがおすすめです。最初から完璧を目指すよりも、育てながら理想の姿へと近づけていくのです。

AIチャットボットを育てるポイントとして、以下の5つの内容が挙げられます。

  • 回答できなかった内容についてのQAを追加する
  • 回答に到達するための言い回し(質問や関連語)を追加する
  • 利用者(ユーザー)からの評価が低い回答については、回答内容を精査する
  • 追加したQAと既存QAの整合性を精査する
  • よりふさわしいシナリオへ変更する

AIチャットボットの導入後には実際の利用データを分析し、上手く回答できなかった理由や回答の評価が低い原因があれば改善することも必要です。企業の社内利用であれば、利用する社員からのAIチャットボットへのフィードバックや評価も重要な情報です。「こういう回答が欲しかった」「この業務へつながればいいのに…」「申請フォームへの自動反映ができてほしい」などの要望は積極的にフィードバックしてもらうようにしてもらいましょう。これらの声がAIチャットボットを育てるための最高の情報になります。

重要なことは、「AIチャットボットは、みんなで育てていくもの」という認識をもつことです。そのためにAIチャットボットに愛称をつけたり、親しみやすいキャラクターにしたりする企業も多いですね。

 

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運用体制を整えて、使えるチャットボットへ成長させよう

回答の精度が低い質問を定期的にチェックして、チューニングを行っていく必要がありますが、運用体制が整っていない場合、回答精度向上に向けたPDCAサイクルを回すことができません。そうなると、いつまでも回答の精度が上がらず、利用者に「ここで問い合わせしても、ちゃんとした回答が出てこないんだよな…」「電話して聞いたほうが正確だな」などと思われてしまいます。その結果、AIチャットボットが利用される頻度も低くなります。せっかく導入したのに人事や総務部門の業務負荷は以前と変わらない、ということになりかねません。

一方しっかりとした運用体制がとられ、継続的にメンテナンスされているAIチャットボットは、QAが充実していき、回答精度が向上していきます。その結果、どんどんと「使えるAIチャットボット」に成長していきます。

運用チームでは、定期的に正答率を計測し、QAをブラッシュアップすることが大切です。
正答率が低いということは、利用者が「満足していない」ということを意味します。正答率が低い回答を見直し、満足度の高い回答を返せるようにブラッシュアップしていきましょう。
利用者の疑問が解決し、満足度の底上げができれば、AIチャットボットの利用率が高まります。利用率の高まりは、QAの蓄積につながり、QAの蓄積は正答率アップにつながります。まさにAIチャットボット成長の好循環です。継続的なブラッシュアップこそがAIチャットボットを人事や総務部門の強力なサポートツールに育てあげることになるのです。

 

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まとめ

AIチャットボットは、導入後のメンテナンスで効果の度合いが大きくかわります。
AIチャットボットを人事や総務部門の強力なサポートツールとして運営していくためには、実際の失敗事例を知り、課題解決に結びつけることが大切です。導入事例はセミナーや資料等で公開されるケースも多くありますので、ぜひ活用してください。
また、定型的な業務での利用であれば、ベンダーが提供しているAIチャットボットを利用することで、失敗を最小限に抑え、効率的な業務改善を図ることができます。実績のあるQ&Aテンプレートが用意されているAIチャットボット製品もあります。このようなベンダーが提供しているソリューションの導入を検討するのも有益な方法の1つです。

そして、利用者にとって有益なサービスだと認識してもらえれば、さらにお客様向けサービスへの拡充の可能性もあります。AIチャットボットの上手な運用は従業員の満足度を上げ、さらに顧客満足度の向上に寄与するかもしれません。

本記事が皆様の参考となり、優秀なAIチャットボットが育つための一助となれば大変嬉しいです。

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