無料生成AIに関する人気資料をまとめてダウンロードできます。
業務の効率化や生産性向上を目的に、さまざまなITツールやクラウドサービスが活用される時代になりました。
一方で、多くの企業が見過ごせない課題として直面しているのがシャドーITです。
シャドーITは、従業員が会社の許可を得ずに、私物のPCやスマートフォン、未承認のSaaS(クラウド)ツール、外部サービスなどを業務で利用する行為を指します。現場では「便利だから」「すぐ使えるから」という理由で広がりやすい一方、企業の管理が及ばないため、重大なセキュリティリスクを招く可能性があります。
さらに近年は、ChatGPTなどの生成AIツールの普及により、シャドーITの問題がより複雑になっています。
従来であれば、端末やストレージの問題は、PC監視ソフトや端末管理ツールなどを通じて、比較的管理しやすい領域でした。
しかし、SaaS(クラウド)ツールになると、インターネット上の接続先を企業側が完全に把握することは難しく、従業員がどのツールを使い、どの業務データを扱っているのかが見えにくくなります。
とくに未承認の生成AIツールは利用のハードルが低く、現場判断で利用されやすいため、企業にとって新たなセキュリティリスクや情報漏洩リスクの温床になりやすいのです。
本記事では、シャドーITとは何かをわかりやすく整理したうえで、企業が直面するリスク、実践的な対策、IT部門が整備すべきシステムやガバナンス、そして生成AI時代に求められる情報管理のベストプラクティスまで解説します。あわせて、こうした課題への対応策として、企業向け生成AIプラットフォームの活用についても紹介します。
シャドーITとは何か?企業が直面する見えないリスク
シャドーITとは、企業が許可していないツールやシステム、端末、クラウドサービスを、従業員が独自に業務利用することです。
代表的な例としては、次のようなものがあります。
- 私物のスマートフォンに業務ツールをインストールする
- 個人PCに業務データを保存する
- 無料のオンラインストレージにファイルをアップロードする
- 未承認のチャットツールで社内外のやり取りを行う
- 会社が把握していない生成AIツールを使って資料作成や要約を行う
これらの行動は、現場から見れば「業務を早く進めるための工夫」と捉えられるかもしれません。
しかし企業にとっては、データの所在や利用状況を把握できない状態そのものが大きな問題です。
本来、企業の情報資産は、決められたシステムやルールの中で安全に扱われるべきものです。ところがシャドーITが広がると、どの従業員がどのツールを使い、どのデータをどこで扱っているのかが見えなくなります。
この「見えない利用」が、情報漏洩、ウイルス感染、アカウントの不正アクセスやアカウントの流出、コンプライアンス違反といった多くのリスクにつながります。
つまりシャドーITの本質は、単なるルール違反ではなく、企業が自社の情報と業務プロセスをコントロールできなくなる状態であり、これこそが最大の脅威なのです。
なぜシャドーITは発生するのか
シャドーITは、単なる従業員のモラル低下だけで発生するものではありません。この問題を考えるとき、重要なのは「なぜ従業員が未承認のツールを使うのか」を理解することです。
実際には、業務のスピードや利便性を優先した結果、企業が把握していないツールやシステムの利用が広がり、シャドーITとなります。
たとえば、以下は、実際の現場でも起こりやすい典型的なケースです。
- 外出先でもすぐに連絡を確認したいという理由で、私物のスマートフォンに業務ツールをインストールする
- 会社支給PCより使いやすく、作業を急ぎたいという理由で、個人PCに業務データを保存する
- 容量制限や共有のしづらさを避けるために、無料のオンラインストレージにファイルをアップロードする
- 社内の連絡手段よりも手軽である、先方から求められたからという理由で、未承認のチャットツールで社内外のやり取りを行う
- 資料作成や議事録要約、文章の整理を効率化したいという目的から、会社が承認していない生成AIツールを従業員が業務で利用する
こうした行動は、現場にとっては便利な業務改善に見えても、企業側から見ると、どのデータがどのツールで扱われているのか把握しづらくなり、セキュリティリスクや情報漏洩リスクを高める要因になります。
つまり、シャドーITは従業員の意識の問題だけでなく、企業の情報システムや運用体制が現場ニーズに追いついていないことの表れでもあります。
そのため、実効性のある対策を進めるには、まず「なぜ従業員が私物端末や未承認ツールを使いたくなるのか」を理解しておくことが前提になります。
その前提に立ったうえで、単に禁止するだけでなく、企業として安全に使えるツールやシステムを整え、正規の業務環境を使いやすくすることが重要です。
生成AI時代に増幅するシャドーITの具体的なリスク
現在、シャドーITのリスクをさらに拡大させているのが生成AIです。
生成AIは、文章作成、要約、翻訳、検索、議事録整理、アイデア出しなど、さまざまな業務で高い効果を発揮します。加えて、無料プランや個人アカウントでも利用できることから、多くの従業員が個人単位で導入しやすいツールでもあります。
しかし、未承認の生成AIを業務で使うことは、従来のシャドーIT以上に深刻なリスクを生みます。
機密データの入力による情報漏洩リスク
最もわかりやすいリスクは、機密データの外部流出です。
生成AIツールの中には、利用規約や設定によって、入力内容がモデル改善や学習データとして、サービス向上に利用されるものがあります。そのため、業務で扱う機密データを安易に入力すると、企業が想定していない形でデータが保存・処理されるおそれがあります。
未承認ツールでは、こうしたデータの扱いをIT部門が十分に把握できないことも多く、情報漏洩リスクを高める要因になります。
従業員が議事録、顧客情報、契約内容、営業資料、設計情報、問い合わせ履歴などを生成AIツールに入力すると、その時点で企業の大切なデータが外部サービス上で送信・処理されることになります。
本人に悪意がなくても、
「要約してほしい」
「文章を整えてほしい」
「会議内容を整理したい」
という目的で入力した情報が、重大なセキュリティインシデントの入り口になることがあります。
利用実態が把握できず管理できない
生成AIのシャドーITが厄介なのは、IT部門や管理部門が利用実態を把握しにくい点です。とくに、会社で正式に承認されていない生成AIを従業員が個人メールアドレスで登録したアカウントから利用している場合、IT部門が利用者や入力データ、利用履歴を把握できないことがあります。
その結果、万が一情報漏洩が起きても、誰が、どのツールに、どの情報を入力したのか追跡しにくいという深刻な管理上のリスクにつながります。
CASB/SSE(クラウド・Webの安全対策)分野で知られるセキュリティ企業 Netskope の調査でも、生成AI利用者の47%が、企業の監督下にない個人アカウント経由で利用していたと報告されています。これは、未承認の生成AI利用が単なる利便性の問題ではなく、企業のセキュリティ対策やデータ管理、監査対応を難しくする実務上のリスクであることを示しています。
(出典:Cybersecurity Dive)
誤情報による業務品質の低下
生成AIは便利な反面、回答の正確性が常に保証されるわけではありません。
誤った情報、古い情報、根拠が不明な情報をもっともらしく生成する(ハルシネーションを起こす)ことがあります。
その結果、従業員が出力内容を十分に確認せずに業務へ使ってしまうと、顧客対応ミス、社内判断の誤り、資料の品質低下などを招く恐れがあります。
つまり、生成AIのシャドーITはセキュリティの問題だけでなく、業務品質の問題でもあるのです。
コンプライアンスや監査対応の難しさ
企業では、情報の取り扱いに関するルール、監査対応、権限管理、ログ管理などが求められます。
しかし、未承認ツールを従業員が自由に使う状態では、利用履歴が残らない、入力内容が追えない、といった問題が起こります。
これは、業種によっては大きな法務・監査リスクにもなります。
生成AIツールの急速な普及により、シャドーITのリスクは新たな局面を迎えていることは確かです。
今さら聞けない基本用語とリスクを総まとめ
生成AI 基本の『き』
シャドーITのリスクから企業を守るための実践的な対策
シャドーITの対策で重要なのは、単に利用禁止や監視を強化することではありません。
企業が取るべきなのは、現場の業務ニーズを満たしながら、セキュリティを確保できる仕組みを整えることです。
1. シャドーITの実態を可視化する
まず必要なのは、現状把握です。
各部門で、どのぐらいの従業員が、どのツールやサービスを使っているのか、また使いたいと考えているのかを見える化しなければ、有効な対策は打てません。
現場の声を拾わずに一方的にルールを作っても、実際の業務とのズレが広がり、かえってシャドーITを助長することがあります。
そのため、実態調査とヒアリングは出発点として非常に重要です。アンケートを取るなども有効な手段かもしれません。
2. 利用ルールを明文化する
次に必要なのは、シャドーITを防ぐための明確なルールです。
特に生成AIを含む新しいツールについては、利用可否の基準が曖昧だと、現場判断で利用が広がりやすくなります。
たとえば、
- 入力してよいデータと禁止すべきデータ
- 利用を認めるツールの範囲
- 業務利用時の承認フロー
- ログ保存やアクセス権限の考え方
- 外部連携やデータ持ち出しの制限
こうしたルールを整備し、従業員が迷わず判断できる状態を作ることが重要です。
弊社でも「生成AI利用に関する社内ルール」が設定されています。ルールは以下のように分かれています。
- ツール経由でのChatGPT利用に関する社内ルール
- ツールを経由しない、直接ChatGPTを利用する場合の社内ルール
弊社は業務効率化の観点から、生成AIを利用することに積極的な方ではありますが、まずはツールを経由してのChatGPT利用を推奨しています。ただし、会社で契約できるサービスにも限界があります。そのため、「ツールを経由しない、直接ChatGPTを利用する場合の社内ルール」が設けられています。
3. セキュリティ教育を継続する
多くのシャドーITは悪意ではなく、「便利だから」「危険だと思わなかった」という理由で発生します。
だからこそ、従業員への教育が欠かせません。
単に禁止事項を伝えるだけでなく、
- なぜそのツール利用がリスクになるのか、
- なぜそのデータを入力してはいけないのか、
- どんな事故につながるのか、
という背景まで理解してもらう必要があります。
繰り返しになりますが、「生成AIツールは利用禁止です」と伝えるだけで終わらせてはいけません。大事なのは、なぜ危険なのかを腹落ちさせることです。
生成AIツールの中には、利用規約や設定によって、入力内容がモデル改善や学習データとして利用されるものがあります。
つまり、軽い気持ちで入力した機密データが、企業の管理の及ばない場所で保存・処理される可能性があるということです。
この構造まで理解してもらって初めて、従業員の意識は「禁止されているからやらない」ではなく、「危険だからやらない」に変わります。
セキュリティ教育は、単なる禁止事項の周知ではなく、リスクの理解を促す場として設計することが重要です。
弊社はIT企業であるため、一定のITリテラシーを備えた社員が多い一方で、その理解度にはどうしても差があります。そこで、生成AI利活用推進研修などを実施し、社員の知識レベルの平準化とルール順守の徹底に取り組みました。
4. 正規の代替ツールを整備する
ここが最も重要です。
現場が未承認ツールを使うのは、たいてい正規のシステムやツールが不便だからです。
つまり、企業が本気でシャドーIT対策を行うなら、「使うな」と言うだけでなく、「これを使えば安全で便利」という公式な選択肢を用意することが必要です。
とくに生成AIに関しては、企業の管理下で安全に使える環境を整備することが重要になります。
こうした課題に対して、企業が検討すべき選択肢の一つが生成AIプラットフォームです。
生成AIプラットフォームを導入する意義は、単に未承認ツールの利用を抑えることだけではありません。
企業が管理できる環境の中で、業務データを適切に活用しながら、生成AIの利便性を組織全体の生産性向上につなげられる点に大きな価値があります。
つまり、シャドーITの抑止と業務効率化を両立するための基盤として機能するのです。
主要な法人向け生成AIサービスでは、API経由や商用利用向けプランでやり取りしたデータを、原則としてモデルの学習に利用しない方針を採用しているケースがあります。
そのため、企業として利用環境を適切に整備すれば、個人向けの未承認ツールを場当たり的に使うよりも、データ管理やセキュリティに配慮した形で生成AIを業務活用しやすくなるという点も大きなメリットです。
その選択肢の一つが、弊社で開発・提供している生成AIプラットフォーム「Questella(クエステラ)」のようなツールです。
Questellaのように、企業利用を前提にした環境を整備することで、利便性を損なうことなく、セキュリティやデータ管理に配慮した生成AI活用を進めやすくなります。
その結果、現場の業務スピードを落とさずに、企業として必要な統制との両立を図ることができます。
シャドーIT対策でIT部門が主導すべきガバナンス体制の構築方法
生成AIを業務で安全に活用していくには、単にツールを導入するだけでは不十分です。
重要なのは、誰が、どの目的で、どのデータを扱えるのかを明確にし、企業として統制の取れた運用体制を整えることです。
とくにIT部門には、現場の利便性を損なわずに、セキュリティと業務効率を両立させる役割が求められます。
そのためには、利用可能なツールの範囲を定義するだけでなく、入力してよい情報とそうでない情報を整理し、必要に応じて利用履歴やログを確認できる体制を用意することが重要です。
また、生成AIの活用は一部の担当者だけの問題ではなく、営業、管理、開発、カスタマーサポートなど幅広い部門に関わるテーマです。
だからこそ、IT部門(情報システム部門)だけで完結させるのではなく、管理部門、セキュリティ部門、現場部門が連携しながら、実運用に耐えうるルールと仕組みを整えていく必要があります。
このように、生成AI時代のシャドーIT対策は、「使わせないための統制」ではなく、「安全に使わせるためのガバナンス設計」へ発想を転換することが求められます。
まとめ|
シャドーIT対策の本質は「禁止」ではなく「安全な正規ルートづくり」
シャドーITは、従業員のモラルの問題として片づけられるものではありません。背景には、現場の業務スピードと、企業のシステムや運用体制とのギャップがあるからです。
そして生成AIの普及によって、このギャップはさらに広がっています。
未承認ツールの利用をただ禁止するだけでは、現場のニーズを止めることはできません。
必要なのは、従業員が安心して使える正式な環境を整え、企業としてデータ管理とセキュリティを担保しながら、生成AIの利便性を活かせる状態をつくることです。
安全な正規ルートを用意しつつ、生成AIの利便性も活かしたいという観点では、企業向け生成AIプラットフォームは、シャドーIT対策と業務効率化を両立させる有力な選択肢の一つと言えます。
企業利用を前提として設計された環境を整備することで、現場の生産性を高めながら、組織として必要な統制も実現しやすくなります。
こうしたツール導入やルール整備は、多くの企業がこれから向き合うテーマです。
弊社でも、生成AI活用の環境整備や運用設計に取り組んできた経験があります。
シャドーIT対策や生成AI活用の進め方でお悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
当サイトでは、AIチャットボット、生成AI、ChatGPT、動画活用に関するダウンロード資料をご用意しております。ご興味のある方はダウンロードいただき、資料をご活用ください。
【資料】生成AIと機械学習AI AIチャットボットの違いがわかるガイド【〇×比較表】
【資料】生成AI 基本の『き』
RAGも使えるAIチャットボットトライアル
公開日:2026年5月15日
SHARE
この記事の著者 NDIソリューションズ株式会社 マーケティング部
おすすめ記事