CB3+Azure OpenAI service 導入事例
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CB3とAzure OpenAI Serviceを組み合せた「ISUZU AI Chat」導入にあたり、Microsoft Teamsに組み込み活用しています。
いすゞ自動車株式会社は全社員が活用する生成AIとして、2024年3月より「ISUZU AI Chat」を導入しました。その導入にあたり、NDIソリューションズのAIチャットボット・CB3とAzure OpenAI Service(以下Azure OpenAI)を組み合せて運用することで、早期導入を実現しています。生成AI導入にあたり、どのような要件でベンダーを選定したのか、導入開発について実際の用途と導入効果、今後の活用予定について、いすゞ自動車株式会社コーポレートIT部オフィスITグループグループリーダー佐藤英博様、同グループ山田就策様にお話を伺いました。
Point
・Microsoft Teamsに統合しわずか3ヶ月で運用を開始
・Azure OpenAIのセキュリティ機能を活用し、データの安全性を確保
・導入4ヶ月で社員の約7割が実際に使用
■いすゞ自動車株式会社について教えていただけますか。
いすゞ自動車は、日本の自動車産業の夜明けから100年以上にわたって世界の「運ぶ」を支えてきました。社会から必要とされるものづくり企業として、人々の生活に寄り添い、「運ぶ」を進化させることで、社会を前進させていくことが私たちの使命だと考えています。
近年、世界中でカーボンニュートラルに向けた取り組みが加速しており、加えて物流業界では、物流の高度化・多様化が進む中、ドライバー不足が深刻化しています。こうした社会課題に取り組むことは、商用車メーカーであるいすゞ自動車の責務であり、私たち人類が進化する大きなチャンスにもつながります。
いすゞ自動車は、こうした状況下でさまざまな社会課題を解決し、商用車業界をリードする存在になるべく挑戦したいと考えています。そのためには、いすゞグループ従業員一人ひとりが高い視座に立ち、同じ価値観を共有しながら、一丸となって社会課題の解決に取り組むことが必要と考え、2023年5月に、その指針となる新たな経営理念体系「ISUZU ID」を策定しました。
「ISUZU ID」
PURPOSE(使命):地球の「運ぶ」を創造する
VISION(将来像):「安心×斬新」で世界を進化させるイノベーションリーダー
MISSION(任務):あなたと共に「運ぶ」の課題を解決する
さらに「運ぶ」に関わるさまざまな社会課題を解決していくため、2030年にグローバル市場における「商用モビリティソリューションカンパニー」への変革を目指す中期経営計画「ISUZU Transformation - Growth to 2030(IX)」を策定しました。
IXは、ISUZU IDのVISIONとMISSIONを、前中期経営計画の成果・課題からのフォーキャスト及びISUZU IDからのバックキャストで、2030年の目線で具体化したものです。多様化するお客様ニーズや、不確実性の高い事業環境にもしなやかに対応し、絶えず柔軟に変革し続けるという意志を込めています。
■いすゞ自動車では、2024年3月より「ISUZU AI Chat」を全社で導入されました。生成AIに対する取り組みについて教えていただけますか
2022年11月30日にOpenAIがプロトタイプとしてChatGPTを公開して以来、広く社会的な注目を集め、普及し始めました。当社においても生成AIを業務に活用し、さまざまな業務効率支援に役立つのではないかと考えました。そこからChatGPTやAzure OpenAIに対する調査を開始しています。最初はまったくの手探りで、どのようなことができるのか、どこまでできるのか、セキュリティなどは安全なのかを調べていき、当社でもいろいろな業務の効率化が図れるのではないかということがわかってきました。
そこから予算を取って、生成AIの導入に着手しました。
■予算化した当時、どのような分野での活用をお考えでしたか。
当社は製造業ですが、事務系の仕事もいろいろありますので、企画書の作成やデータの収集といった分野では活用できるのではないかと考えていました。
上層部からもいろいろなデータをサマリーして提出する業務などにおいては、月何時間、あるいは何十時間の効率化が図れるのではないかとの打診もありました。その時点からユーザとともに検討に入りました。
■生成AI導入にあたり、どのような要件を想定されたのですか。
生成AI活用の予算を取ったのが2023年7月頃です。そのときには、情報漏洩対策、セキュリティ対策、全社員が利用してもらえる仕組みの構築を要件として考えていました。また、短期間で導入できることも大切な要件でした。
そして社員が慣れ親しんで活用しているMicrosoft Teams組み込み、そのインターフェイスから利用できることを想定しました。
■Microsoft Teamsへの組み込みを想定された理由を教えていただけますか。
現在、社員全員がMicrosoft Teamsを利用しており、チャットを活用しています。以前はメールや電話でのコミュニケーションがメインでしたが、今ではMicrosoft Teamsでほぼコミュニケーションを完了できる状態になっています。ですので、いくら生成AIを利用したいと思っても、わざわざブラウザを開いて使うのは難しいと考え、Microsoft Teamsへの組み込みを想定しました。
チャットでコミュニケーションを取るように「ISUZU AI Chat」でチャットをして、活用してもらうようにしたいと考えたためです。
■「ISUZU AI Chat」の導入にあたり、ベンダーの選定はどのように行いましたか。
今お話しした要件を、以前からお付き合いがある3社に打診しました。やはり条件に合わないベンダーもあり、条件に合ったのがNDIソリューションズでした。
声をかけたうちの1社は自社クラウドでの開発が条件でしたし、もう1社は開発したアウトプットの権利について当社の条件には合いませんでした。
導入に関しては、投資をして資産性のあるものを購入する方針となっています。NDIソリューションズは資産として当社に寄与してくれ、かつ改変しても問題がないというスタンスでした。
■「ISUZU AI Chat」の導入をNDIソリューションズに依頼した決め手を教えていただけますか。
まずはこちらの要件に沿った開発と納入をしてくれることを評価しました。つまりMicrosoft Teamsへの組み込み、シンプルなオペレーション、ランニングコストが導入の決め手となります。
また、NDIソリューションズとは約30年の付き合いがあり、当社のOAパソコンの導入・サポート、Microsoft365の導入・支援などの実績があったことも考慮しました。生成AIは今後も使い続けていくものであり、Azure OpenAIなどの開発もどんどん進んでいくと思われます。それだけに今後も長きにわたってフォローしてもらえることも選定のポイントのひとつでした。
■NDIソリューションズからのAIチャットボット・CB3+Azure OpenAIという提案については、どう評価されましたか。
もともとは「ISUZU AI Chat」用のインターフェイスを開発しようかという話しもありました。ただ開発となると工数、期間、コストがかかってしまいます。それならと提案されたのがCB3でした。すでにNDIソリューションズが開発済みのものですので、全体の開発工数は少なくて済みます。早急に使用したいというこちらの意図にも沿うものでした。
また、Azure OpenAIが持つ機能や品質面、倫理面、セキュリティ面のリスクに対して、Webアプリではなく部品として利用する形であれば、入力データは守られる仕組みを持つこと、そしてCB3からAzure OpenAIを呼び出せば入力データが漏洩しないため、セキュリティリスクを軽減できることも評価しました。
セキュリティ面では、データの再利用防止によるAzure OpenAIの採用、SSO認証によるアクセス制限、CB3とのVPNによるネットワークセキュリティ対応も行っています。
■「ISUZU AI Chat」の導入開発についてはいかがでしたか。
実際にCB3はでき上がっているものですので、開発自体はありませんでした。2023年11月末に着手して、2024年2月末にリリースしていますので、短期間で導入できたと思います。
事前検証についてはシステム部門で実施して、さまざまな意見を収集しました。具体的には文字数制限があるため、長文での問合せの検証、回答までの速度、Azure OpenAIモデルの選定などです。
当初、期待するレスポンスが出ないことや、回答が遅いと感じたこともありました。実際のところ、各社が開発したものを組み合わせて「ISUZU AI Chat」にしていますので、連携の相性などで調整が必要だったと思います。実際にチューニングは今も行っているところがあります。
■「ISUZU AI Chat」はどのような使われ方をしているのですか。
2つありまして、1つはいろいろなデータをインプットしてサマリーする業務に活用して、業務効率化を高める使い方です。
もう1つは、生成AIを使ったアイデア出しなど、ホワイトカラーの生産性向上をサポートするような使い方です。全社員に「ISUZU AI Chat」を使ってもらいたいと考えています。
■「ISUZU AI Chat」の導入効果について教えていただけますか。
導入4ヵ月で全社員の約7割が実際に使用しています。社員によって頻繁に使う人と時々使う人など、業務内容によって使用頻度は異なります。
使われ方としては、ソースデータの収集、ドキュメント作成、文書保管、翻訳などのチェック、文書のチェックなどが多いようです。
■「ISUZU AI Chat」の今後の活用予定を教えていただけますか。
これまで、業務改善に役立つテンプレートを作成しましたが、それをアップデートしてその他の業務でも使えるような汎用的なテンプレートを作成しています。通常では、データをサマリーする場合、自分でデータを探して、データを開いて作成する必要があります。今後は、関連するドキュメントを「ISUZU AI Chat」に入れておいて、そこから生成してもらおうというものです。業務改善のステップ2ともいえますね。
また、AIには生成AIだけではなく、いろいろなAIがあります。AIを活用していくことで業務効率化が図れると思いますので、AIの将来図、ロードマップ作りにも着手しています。
■CB3、NDIソリューションズに対する期待やリクエストなどありましたらお教えいただけますか。
「ISUZU AI Chat」にCB3を実装するときに、CB3が持つ機能を外して実装してもらいました。これは、ユーザである社員のITリテラシーにばらつきがあることを想定し、よりシンプルなオペレーションを実現するためでした。こうした柔軟な対応をしてもらえたことに大変感謝しています。
先にもお話ししたように生成AIは今後も引き続き活用していきますし、さまざまな開発もされていくと思います。そうした先端の情報を共有しながら、今後も一緒に「ISUZU AI Chat」を育てていってもらうことに期待しています。
会社概要
いすゞ自動車株式会社
本社所在地:神奈川県横浜市西区高島一丁目2番5号 横濱ゲートタワー
創業:1916年
設立:1937年4月
代表者:代表取締役 取締役会長 CEO 片山 正則
代表取締役 取締役社長 COO 南 真介
従業員数:連結:44,495人
単独:8,056人(2023年3月末時点)
主要製品:大型・中型・小型トラック、バス、自動車用ディーゼルエンジン、産業用ディーゼルエンジン
* 取材日時 2024年6月
* いすゞ自動車株式会社様のサイト
* 記載の所属、役職名等は、2024年6月時点のものを記載しています。
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